研究課題/領域番号 |
23310077
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
藤井 稔 神戸大学, 工学研究科, 教授 (00273798)
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研究分担者 |
今北 健二 神戸大学, 工学研究科, 助教 (50598430)
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キーワード | シリコンナノ結晶 / ドーピング / 近赤外 / ビスマス / 同時ドーピング |
研究概要 |
本研究は、シリコン(Si)のナノ結晶に極少数の不純物をドーピングすることにより、不純物制御と量子サイズ効果を組み合わせてSi結晶が本来持たない機能を実現しようとするものである。以下に本年度の成果を記す。1)これまでに行ってきた希土類イオン(f電子系)のドーピングに関する研究をビスマス(Bi)イオン(p電子系)に展開し、Siナノ結晶/ナノクラスターによるBiイオンの高効率励起を試みた。Biドープシリカガラス薄膜中にSiナノクラスターをドーピングしたBiドープシリコンリッチシリカ薄膜において、Siナノクラスターからのエネルギー移動によりBiイオンの近赤外発光センターを高効率に励起することに成功した。この成果は、Siベースの導波路型広帯域光増幅器実現の可能性を示すものである。2)これまでに、浅い不純物であるボロン(B)や燐(P)をドーピングしたSiナノ結晶の電子状態について研究を行ってきたが、もっとも基本的な情報の一つであるBのドーピングサイトについては、ほとんど明らかになっていなかった。本年度は、フッ酸溶液中におけるBドープSiナノ結晶の発光特性を評価することにより、BがSiナノ結晶の表面付近にドーピングされていることを明らかにした。3)BとPを同時ドーピングしたSiナノ結晶が、有機物による表面修飾無しに極性溶媒中に分散する事を見出した。この成果は、塗布法による高電気伝導度ナノ結晶薄膜作成の可能性を示している。4)顕微分光法により、単一Siナノ結晶の発光特性の測定を開始し、表面プラズモン励起により単一Siナノ結晶の微弱な発光を高効率に検出することに成功した。5)不純物ドープSiナノ結晶の非線形光学応答について詳細な研究を行い、ドーピングと非線形光学応答の関係を明らかにした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究実施計画に記載した以下の3項目を達成した。1)ナノ結晶分散溶液の開発を行い、不純物の分布に関する知見を得た。2)単一Siナノ結晶の発光を検出するシステムを構築した。3)不純物ドープSiナノ結晶の非線形光学応答について詳細な研究を行い、ドーピングと非線形光学応答の関係を明らかにした。これらの3項目以外にも、研究実績に記した成果を挙げた。
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今後の研究の推進方策 |
概ね順調に研究が進展しているため、研究計画の大幅な変更は必要ない。ただ、研究実績に記したようにPとBを同時ドーピングしたSiナノ結晶において非常に面白い現象を見出しているため、同時ドープSiナノ結晶について優先的に研究を遂行する。
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