研究課題/領域番号 |
23310083
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研究機関 | 独立行政法人物質・材料研究機構 |
研究代表者 |
若林 克法 独立行政法人物質・材料研究機構, 国際ナノアーキテクトニクス研究拠点, 独立研究者 (50325156)
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研究分担者 |
岡田 晋 筑波大学, 数理物質科学研究科, 准教授 (70302388)
佐々木 健一 日本電信電話(株)・NTT物性科学基礎研究所, 量子光物性研究部, リサーチスペシャリスト (50396511)
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キーワード | グラフェン / 理論 / ナノリボン / 電子輸送 / エッジ効果 / 第一原理計算 |
研究概要 |
一原子層のグラファイト・シート(グラフェン)が簡単に作成できるというNovoselovらによる驚くべき報告以来、グラフェンの物理・化学の研究が世界的規模で爆発的な展開を見せている。グラフェンの電子物性を担うフェルミ準位近傍の電子状態は、炭素原子骨格の上を自由に遍歴するπ電子によって支配される。グラフェンの低エネルギー電子構造は、質量のないディラック方程式で記述されるため、電子は相対論的粒子として振る舞い、自由電子系で記述される通常の半導体2次元電子系とは大きく異なる。本研究課題では、グラフェンなどのディラック電子系において、端や表面などの境界面が電子状態に与える影響を理論的に明らかにする。特に、端や表面などの境界面条件およびシステムサイズの効果と、電子伝導特性を明確にすることで、ナノスケール・ディラック電子系の電子伝導の向上と機能付加と制御の指針、端や表面状態を同定する指針を、理論的に提示する。 本年度は、下記の項目について研究を実施した。 (1)ナノリボン接合系の低エネルギー領域での電子輸送特性について理論数値解析を行った。ナノリボン接合系の電子状態を強結合模型によって記述することで、グリーン関数法に基づく大規模数値計算を行ない、低エネルギー領域でのコンダクタンスの磁場依存性を評価した。エッジ効果による閉じ込めの場合と、ポテンシャル由来による閉じ込めの場合について比較し、トランスポートギャップ内のコンダクタンスピーク構造の応答が両者の場合で全く異なる振る舞いが起きることを示した。 (2)グラフヱンコーナーエッジでの電子状態を、強結合模型および有効質量模型によって解析し、エッジ状態が消失する魔法角があることを示した。 上記の成果の他、現在ホウ素と炭素の混合系などのグラフェン関連物質の境界面効果に関する理論解析を進めている。また、SiC表面上でのグラフェン生成過程と表面構造の解析を、関連研究として実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、グラフェンナノリボンにおける電子輸送特性の解析、グラフェン・コーナーエッジ上の電子輸送解析などについて、成果を上げることができており、概ね順調に研究が進展していると言える。また、多くの招待講演につながっており、非常にアクティブに研究が進んでいるといえる。
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今後の研究の推進方策 |
次年度以降も、グラフェン・ナノリボンの電子輸送特性に関する理論解析を引き続き実施する。さらに、グラフェンのみならず、BN系などグラフェン関連物質に関する解析を進める。また、グラフェンジグザグエッジに現れるスピン状態に関する多体効果の解析、さらにはホールドーピング効果についての解析を行う予定である。これらの解析によって、グラフェン電子デバイスの動特性を解明することを目指す。
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