本研究では、DNAを鋳型としたチミジル酸-アントラセン誘導体TACTの自己集合により、一次元集積したアントラセン部位を構築し、このアントラセンの光・電子機能を明らかにした。時間分解蛍光スペクトルの結果から、TACTの自己集合体中のアントラセンは動きやすい環境にあるのに対し、TACT/dA20中のアントラセンはDNA鋳型により集合体中央でフェルスター機構によるエネルギー移動が可能な距離に精密に配置され、さらに水分子から十分遮断された環境にある一次元集積体となっているため、効率の良いエネルギー移動のパスとして働くことがわかった。
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