GRK-2に最適なコンセンサス配列を同定するために17種類のタンパク質のアミノ酸配列を調べ、GRK-2に最も適した三つのコンセンサス配列、(D/E)X(1-3)(S/T)、(D/E)X(1-3)(S/T)(D/E)、および(D/E)X(0-2)(D/E)(S/T)を発見した。また、RESAペプチドよりもGRK-2に対する5倍以上高感度を示したチューブリンタンパク質由来のペプチドは、別のGRKグループであるGRK-5に対しては反応性が非常に低く、GRK-2に特異的なペプチドであることも分かった。さらに、このペプチドを改良した3種類のペプチドを用意し、リン酸化反応を行った結果、より高い反応性を示す新規ペプチドの同定に成功した。 診断・治療用遺伝子との結合のために、N-末端に八つのアルギニンを導入したペプチドを合成した。また、GRK-2シグナル応答型循環器疾患診断・治療システムの開発のために、八つのアルギニンを有するペプチド配列を側鎖とし、中性のポリマーを主鎖とする高分子ポリマーを創成した。高分子ポリマーはGRK-2酵素の存在下で、効率よくリン酸化されることを確認した。心肥大症動物モデルを用いた実験では、弱いながらも高分子ポリマーは組織内のGRK-2と反応することを確認した。今後、実用化に向けた更なる高分子ポリマーの改良と工夫により、GRK-2の過剰発現細胞や疾患の診断・治療に有効な材料として活用されることが期待できる。
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