研究課題/領域番号 |
23310086
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研究機関 | 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所 |
研究代表者 |
小栗 克弥 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子光物性研究部, 主任研究員 (10374068)
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研究分担者 |
中野 秀俊 東洋大学, 理工学部, 教授 (90393793)
日比野 浩樹 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 機能物質科学研究部, 主幹研究員 (60393740)
加藤 景子 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子光物性研究部, 研究員 (40455267)
関根 佳明 日本電信電話株式会社NTT物性科学基礎研究所, 量子電子物性研究部, 研究員 (70393783)
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キーワード | 時間分解光電子分光 / エピタキシャルグラフェン / 高次高調波 / 超高速ダイナミクス |
研究概要 |
平成23年度は、超高速表面光電子分光法によるエピタキシャルグラフェンのダイナミクス計測を中心に実施した。また、本研究で用いる、大面積エピタキシャルグラフェンの成長と、そのラマン分光・原子間力顕微鏡(AFM)評価は適宜実施した。 【課題1】既存計測法によるグラフェン電子系の超高速緩和過程の計測 繰返し10Hzのテラワットレーザをベースにしたポンププローブ型高次高調波表面光電子分光システム(TR-PES10)の100fs時間分解能化を達成し、GaAs表面電子系の初期光過程における電子・正孔空間分離過程の観測に成功した。 また、本装置を用いてエピタキシャルグラフェン計測の予備実験として、グラファイトの光励起状態の表面光電子分光を行い、伝導帯電子系に由来する光電子信号の検出に関して予備的データを取得することに成功した。 また、グラフェンの光学フォノン検出に向け、既存のフェムト秒時間分解反射率法を用いて、グラフェン上に金属微粒子を分散させたエピタキシャルグラフェンの予備計測を実施した他、過渡回折法による多層グラフェンの電子系位相緩和計測に向け、超短パルスレーザ装置を立ち上げ10fsのパルス幅を達成した。 【課題2】高次高調波表面光電子分光システムの確立 TR-PES10では、レーザショットの繰返しが少ないために、光電子スペクトルを十分な信号強度で取得するには、30分程の時間を要する。H23年度は、この点を克服するために、lkHz繰返し、パルス幅25fsのレーザをベースにした高次高調波表面光電子分光システム(TR-PES1000)の構築を開始し、温度依存性計測用の冷却機構付きサンプルマニピュレータ並びにサンプル加熱ステージを既存の光電子エネルギー計測チャンバに組込んだ。また、光源として、1kHzレーザを用いた高次高調波発生実験を実施し、本システムで用いる51次高調波の発生実験を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画通り、既存の超高速光電子分光システムの半導体を標準サンプルとして100fs時間分解能評価実験に成功し、エピタキシャルグラフェンの超高速緩和計測の予備実験は当該年度で実施することができている。また、1kHz繰返し、パルス幅25fsのレーザをベースにした高次高調波表面光電子分光システム(TR-PES1000)の構築については、冷却機構付きサンプルマニピュレータ並びにサンプル加熱ステージを導入した他、51次高調波の発生実験を実施することができており、TR-PES1000システム構築も順調に推移している。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度は、既存の超高速表面光電子分光法を用いたエピタキシャルグラフェンの超高速緩和過程計測と、高繰返し・高安定な高次高調波表面光電子分光システムの構築を引き続き実施する。1kHz繰返し、パルス幅25fsのレーザをベースにした高次高調波表面光電子分光システム(TR-PES1000)の構築に関しては、H24年度中までに完成させ、グラフェン計測を実施する予定である。当初計画ではH23年度の予定していたポンプ光の強度・エネルギー・偏光依存性に関してはTR-PES1000で計測した方がより精度良く計測できるため、計画を変更する。また、グラフェンの位相緩和計測については、当初計画における過渡回折法の難易度が高いため、まずは二光子吸収計測を行い、グラフェンの非線形信号取得のための予備実験を実施する。
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