研究課題/領域番号 |
23310091
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
式田 光宏 名古屋大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (80273291)
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研究分担者 |
川部 勤 名古屋大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20378219)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | カテーテル流量センサ |
研究概要 |
本研究では,現代医学で未解明の領域とされている末梢気道(別名,サイレントゾーン)での呼気吸気特性を解明することを目的として,世界に先駆けて末梢気道の計測評価が可能な超小型カテーテル流量センサの実現を目指した.具体的に,今年度は以下の研究課題を克服した. (1) 超小型カテーテル流量センサへの温度センサ集積化技術 本超小型カテーテル流量センサでは,ヒータから気体への熱伝達量にて気体の流速を検出する.このため,気体の温度が変化するとセンサ出力はその影響を受け測定誤差が生じる.本センサのヒト使用においては,外気温の空気を吸い,体温で暖めた空気を吐くという温度条件での流量計測になる.すなわち呼気吸気で測定対象となる気体の温度が異なることになる.従って,本テーマでは,呼気吸気の温度変化を補償することを目的として,流量センサに,更に温度センサを集積化することを検討した.具体的には,流量センシング部であるヒータ周囲に冷線温度計を集積化する加工プロセスを確立した.また,測定対象となる気体の温度補償を行うことで,流量計測の精度を向上できることを確認した. (2) 超小型カテーテル流量センサによる動物疾患モデルの計測評価 本テーマでは,本カテーテル流量センサを動物実験へと展開し,本センサの有用性を実証すると伴に,臨床応用への足がかりを築いた.具体的には,超小型カテーテル流量センサをマウスの気道に挿入し,薬物投与による気道収縮効果をリアルタイムで測定評価した.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書記載の研究実施計画に従い,本年度は,(1) 超小型カテーテル流量センサへの温度センサ集積化技術,(2) 超小型カテーテル流量センサによる動物疾患モデルの計測評価,の二つの研究課題の克服に挑んだ結果,(1)に関しては,流量センシング部であるヒータ周囲に冷線温度計を集積化する加工プロセスを確立した.また測定対象となる気体の温度補償を行うことで,流量計測の精度を向上できることを確認した.(2)に関しては,作製した超小型カテーテル流量センサをマウスの気道に挿入し,薬物投与による気道収縮効果をリアルタイムで測定評価した.流量センサ配線実装装置の故障により,センサ実装方法に一部,遅れがあるが,研究はおおむね順調に進展していると判断した.
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今後の研究の推進方策 |
今後については,当初の予定通り下記の研究課題を解決する予定である. (1) 超小型カテーテル流量センサの応答性の向上並びに気管支鏡への実装技術 超小型カテーテル流量センサの応答性の向上を目的として,MEMS技術を用いてヒータ基板に微細熱絶縁構造を設けることを検討しセンサの時間分解能の向上を図る.また,超小型カテーテル流量センサを気管支鏡へ組み込むことを検討する. (2) 超小型カテーテル流量センサによる動物疾患モデルの計測評価 本テーマでは,薬物投与による気道収縮効果を,直接的に,リアルタイムで測定評価することを詳細に検討する.また,疾患モデルマウスの気道に直接的に本流量センサを挿入し,各疾患モデルでの吸気呼気を世界で始めて明らかにする.
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