本研究では,現代医学で未解明の領域とされている末梢気道(別名,サイレントゾーン)での呼気吸気特性を解明することを目的として,世界に先駆けて末梢気道の計測評価が可能な超小型カテーテル流量センサの実現を目指した.具体的には,本年度は、以下の研究課題を克服した. (1) 超小型カテーテル流量センサの応答性の向上並びに気管支鏡への実装技術 超小型カテーテル流量センサの応答性の向上を目的として,MEMS技術を用いてヒータ基板に微細熱絶縁構造を設けることを検討した.実験的に,本熱絶縁構造を設けることでセンサの時間分解能を向上できることを確認した.また,超小型カテーテル流量センサを気管支鏡へ組み込むことを検討した.具体的には,センサ外周部に用いているシール用テフロンチューブの長尺化を図り,これによりセンサと細径ファイバースコープとのタンデム使用を可能にした.また,ラビットの気道及び気管支を用いて,上記タンデム使用が可能であることを実証した. (2) 超小型カテーテル流量センサによる動物疾患モデルの計測評価 本テーマでは,本カテーテル流量センサを動物実験へと展開し,本センサの有用性を実証すると伴に臨床応用への足がかりを築いた.具体的には,薬物投与による気道収縮効果を,直接的に,リアルタイムで測定評価することを検討した.なお、動物実験については、呼吸器内科を専門とする川部教授(医学部,研究分担者)が担当し、実験は動物実験の設備が整っている名古屋大学医学部にて実施した.
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