研究概要 |
迅速・省サンプルかつ正確に血中アディポカインの定量的測定を可能とするマイクロチップ基盤作成のため、環状ポリオレフィン製マイクロチップ上に幅300マイクロメーター、深さ100マイクロメーターのマイクロ流路を作成し、流路上の任意の部分にピコリットル単位の液滴のハンドリングが可能な微細化インクジェットを用いて、各種一次抗体の吐出・固定を行いサンドイッチELISA系の構築を行った。アディポカインのうち、血中濃度がpg/mlと極微量しか存在しないIL-6およびTNF-alphaについて、臨床的基準値の範囲で定量検出系を構築した。それぞれ同一流路あるいは流路間でのRSDは10%以内が確保され、さらに日間、日内変動も10%以内と臨床検査法として高い安定性を示した。一枚のマイクロチップ基盤上に複数の流路を作成して、それぞれIL-6およびTNF-alphaの検出系を構築することで複数項目あるいは複数検体の同時検出系を確立した(PLoS One 2013, e53620)。さらに、血中濃度がng/mlとIL-6らと比較して血中濃度が2桁高いアディポネクチンについても、マイクロチップ基板に作成したマイクロ流路上で上述の抗体固定法を用いてサンドイッチELISAを構築した。定量性、再現性など96穴ELISAプレートを用いた既存のサンドイッチELISA方とそん色ない検出系の構築に成功した(論文投稿中)。以上のことから、マイクロ流路上で抗体固定を行うことで正確に各種アディポカンの測定系の構築が可能になる。
|