研究課題
本年度は、平成24年度に設計・開発した赤外線レーザーによる直接基板加熱機構を駆使し、1000°C以下の低温成長から1300°Cを越える高温成長まで広範囲な基板温度における成長を試み、基板温度と結晶性などの関係を明らかにした。特に高圧下における温度差法により得られた単結晶六方晶窒化ホウ素基板を用いたホモエピタキシャル成長の結晶成長条件の最適化を行い、良好なエピタキシャル成長が得られる成長条件を見いだした。このホモエピタキシャル成長においては、高温下、特に1300℃における成長により良好な薄膜成長が達成されていることを顕微ラマン散乱分光法により確認した。一方、六方晶窒化ホウ素はグラファイトと類似の結晶構造を持つ絶縁体であり、この六方晶窒化ホウ素原子層を用いたグラフェンの基板としての応用研究はさらに研究が進んだ。対向する六方晶窒化ホウ素層により絶縁保護されたグラフェンは理想に近い均一な二次元電子ガス状態を保つが、このグラフェンに1次元(ライン)接触させた金属電極を取り付けると、他の物質系では得られない高いキャリア移動度を室温で観測することができることを見いだした。対照的に、グラフェンと六方晶窒化ホウ素を原子配列のレベルで配向させ積層するとグラフェン電子構造の変調現象も観測でき、グラフェンと六方晶窒化ホウ素の組み合わせはその層間相互作用を制御することができる興味ある物質系であることが明らかとなった。今後の応用の上でエピタキシャル成長の重要性が広く認識され、今後の大きな課題である。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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