研究概要 |
本研究では,環境(低炭素社会)と生活(超高齢化社会)の両者に重要な影響を及ぼす自動車交通を中心ターゲットとして取り上げ,ライフスタイルシミュレーションと交通シミュレーションを組み合わせ,ライフスタイルの提案,インフラの整備,交通政策の策定等の社会システム設計が,環境と生活に与える影響を定量的に予測する統合シミュレータを研究開発することが目的である. 平成23年度の研究は以下の手順で進め,それぞれ成果を得ている. (1)交通流シミュレーションの整備 自動車だけでなく歩行者交通を考慮したり,ガソリン車だけでなく電気自動車の交通流シミュレーションを実現したりするなど,交通流シミュレータMATESの基本的な性能の改善を実施したうえで,環境への影響の評価に関する研究を行った.また現実の都市の路面電車軌道延伸計画を例題として取り上げ,交通流シミュレータ単体を用いて計算を行い,得られた結果から都市交通の経済性や環境への影響を評価する手法の検討を行った.(歩車混合交通,電気自動車の走行シミュレーション,路面電車延伸計画の評価) (2)交通手段選択シミュレーションの検討 自動車,歩行者,バス,鉄道など,複数の交通モードが存在する交通環境の中で人々がどのモードを選択するかまで考慮したマルチモーダル交通流シミュレーションのプロトタイピングを行った.交通モード選択の結果が交通流シミュレーションの入力となり,交通流シミュレーションによって得られる交通状況がモード選択にフィードバックされるモデルである.この成果は平成24年度初頭の国内会議で報告予定である.
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度にプロトタイピングを行った交通モード選択モデルを,交通流シミュレーションと連結することを目標とする.第1に,連結に必要なプロトコルの定義を実施し,シミュレータに適切な改良を施す.大規模な問題への適用を考えると,現状の交通モード選択アルゴリズムの計算量がネックとなるため,学習や推測アルゴリズムあるいは情報の再利用などを利用した適切なアルゴリズムを開発する.大規模なシミュレータの開発とメンテナンス作業は適宜専門業者に業務を委託する予定である.
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