研究課題/領域番号 |
23310101
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
木嶋 恭一 東京工業大学, 社会理工学研究科, 教授 (10134826)
|
研究分担者 |
日高 一義 東京工業大学, イノベーションマネジメント研究科, 教授 (50565736)
出口 弘 東京工業大学, 総合理工学研究科(研究院), 教授 (60192655)
猪原 健弘 東京工業大学, 社会理工学研究科, 教授 (80293075)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | 社会システム / サービス科学 / 可視化 / 価値創出 |
研究概要 |
サービスシステムの価値共創のメカニズムとプロセスの分析・解明に向けて、概念・数理、シミュレーション、実証のアプローチを重層的に開発・展開し、そのコアとなるサービスシステムモデルのプロトタイプを構築した。具体的内容は次の通り。1)概念・数理:プロバイダーとカスタマー間の価値共創に焦点を当て、誤解と相互理解、相互学習を定式化するハイパーゲーム、ドラマティックモデルを含む広範囲の概念・数理アプローチを用いて、これらの概念がステークホルダー間の内部モデルのすりあわせに関するという統一的な視点から体系化を行い、モデルの骨格を構築した。併せて、Jim SpohrerらとValue Orchestration Platformモデルを精緻化した。2)シミュレーション:エージェントベース社会シミュレーションと遺伝的アルゴリズムを融合して、プロバイダーとカスタマー間の革新的な自律と共生のプロセスを記述するシミュレーションモデルを開発した。そのモデルを、カーシェアリングシステムの普及問題等に適用して、その環境持続性への効果を検討した。これにより、Transition Managementという新たな学問領域への進出につなげた。3)実証:フィンランド・ヘルシンキ郊外エスポー地区における産業集積、インドネシア・バンドン近郊およびソロにおける産業クラスターに対する実証研究を実施した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
(理由)本年度の当初計画を超えて、共同研究者との議論やその他の活動により、昨年度提唱した「サービス・イノベーションのCoモデル」を基礎にValue Orchestration Platformモデルを開発し精緻化するとともに、実証研究とワークショップ・情報発信を活発に行った。具体的成果は以下の通り。 1)「航空会社のサービス政策開発のためのシミュレーションモデル」を発展させて、エージェントベース社会シミュレーションと遺伝的アルゴリズムを融合して、プロバイダーとカスタマー間の革新的な自律と共生のプロセスを記述するシミュレーションモデルを開発でき、そのモデルを、カーシェアリングシステムの普及問題等に適用できた。2)インドネシアソロ市のバティック産業クラスターをValue Orchestration Platformとしてとらえ、バティック生産販売者だけでなく、観光局、旅行代理店等を巻き込んだ観光拠点として再構築するワークショップを開催し、これによりションプラン作成に大きく貢献した。この経過及びさらなる試験のために2015年3月に2回目のワークショップを開催する予定である。3)フィンランドにおける実証研究の準備を2013年9月に実施し今後の見通しを立て2014年6月から本格的に開始する予定である。4)これらの具体的で目に見える成果導出から、ヨーロッパで近年提唱されているTransition Managementという新たな学問領域への進出につながった。
|
今後の研究の推進方策 |
大目標である価値共創のメカニズムとプロセスをサービスシステムとして統一的に分析・解明する枠組みの構築に向けて初年度の研究成果を踏まえ、数理モデル、シミュレーションモデル両方の側面から、さらに研究を推進する。現在のところ、大幅な研究計画の変更等は必要ないと判断する。
|