研究課題/領域番号 |
23310103
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大西 匡光 大阪大学, 経済学研究科(研究院), 教授 (10160566)
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研究分担者 |
西原 理 大阪大学, 経済学研究科(研究院), 准教授 (20456940)
田畑 吉雄 南山大学, ビジネス研究科, 教授 (30028047)
山崎 和俊 大阪大学, 金融・保険教育研究センター, 助教 (50554937)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 最適停止 / ファイナンス / 金融工学 / リスク・マネジメント / リアルオプション / レヴィー過程 |
研究概要 |
メンバー全員は,原則毎週,大阪大学において,研究会を開催し,最適停止問題を含む確率制御問題の理論とそのファイナンス・金融工学への応用についての最新の研究動向についての情報交換を行うとともに,将来の研究の方向性についての意見交換を行った.また,メンバー全員,国内外の学会,研究会に多数出席し,研究発表を行うとともに,研究情報の収集・交換を行った.メンバーごとの研究活動の概要と成果は下記の通りである. 大西は,前年度と同様,金利デリバティブの価格付けに関連して,複数回停止可能な最適停止問題と最適停止ゲームの研究を継続した.また,地震災害などのカタストロフ・リスクをヘッジする手段としてのカタストロフ・オプションの価格付けについても,一定の成果を得て,国内外の学会で発表を行った. 田畑は,前年度に引き続き,効用関数が成長曲線で表現され,観光産業において,新たな企業が参入する最適機会を導出するためのリアルオプション・モデルを研究した.また,ハイテク企業の経営戦略をファジイ理論と最適停止問題とを融合させて誘導した. 西原は前年度から引き続き,複雑な利害関係者とペイオフ構造をもつリアルオプション・モデルの構築と分析を多く行った.特に,多次元の状態変数(確率過程)を含む多次元モデルや,エージェンシー問題や非対称情報を含むモデルを開発することで,投資プロジェクト・マネジメントという問題を,総合的に分析した. 山崎は、先ず,最適配当問題のデュアルモデルにおいて,レヴィー測度にかかわらず,尺度関数を利用し最適解が得られることを証明した.また,その派生問題として,固定された取引費用を導入し,同様に解を求めた.さらに,spectrally negativeなレヴィー過程の場合において,最適在庫管理問題および複数回停止可能な最適停止問題についての研究を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通り,メンバー全員は,原則毎週,大阪大学において,研究会を開催し,最適停止問題を含む確率制御問題の理論とそのファイナンス・金融工学への応用についての最新の研究動向についての情報交換を行うとともに,将来の研究の方向性についての意見交換を行い,本研究プロジェクトの進行に,極めて有益であった. また,メンバー全員,活発に,国内外の学会,研究会に出席し,研究発表を行うとともに,研究情報の収集・交換を行った. とりわけ,西原と山崎は,次々と新しい研究成果を論文に纏め,様々な機会に研究報告するとともに,すでに投稿済みの論文も,次々と水準の高い国際ジャーナルに公刊されるなどして,著しい研究成果を上げた.
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今後の研究の推進方策 |
今後も,引き続き,研究チームのメンバー全員が参加する勉強会・研究会を,原則毎週,開催する. また,国内外の研究者を迎えての公開セミナーも,年2回程度開催する.とりわけ,最終年度の今年度は,我々研究チームのメンバーの各々が,本研究プロジェクトを通じて得た最新の研究成果を,積極的に報告して,評価を仰ぐ機会としたい. さらにメンバー各自は,国内外の関連する学会,セミナー,ワークショップ,シンポジウムに,適時出席する.こうした活動を通じて,さらに最新の研究情報の収集を行うとともに,関連分野での国内外の研究者との研究情報の交換と研究交流を図る. 一方,国内外で公刊された関連する文献(書籍,学会プロシーデングズ,論文,等)を迅速に入手し,関連する研究情報の収集をも行う.さらに,応用数理統計学,応用確率モデル,ファイナンス・金融工学,等の様々な応用分野において発展を遂げた最適停止に関する研究の歴史を概観して,それら各分野での理論・応用・解法についての現状・動向を総括する. そして,とりわけ最適停止理論のファイナンス・金融工学へのさらなる応用を目的として,将来有望な研究方向を設定した上で,研究チームのメンバーの各々が,最適停止の理論・応用・解法に関して,今後に取り組むべき研究テーマを設定して,さらなる研究上発展への貢献を目指した研究の緒に就く計画である. 現在,予定している具体的な研究テーマとのその担当メンバーを挙げれば,下記の通りである.1.最適複数回停止の理論とそのエキゾチック金利デリバティブの価格付けへの応用(担当:大西・田畑);2.多次元の確率過程に対する最適停止の理論とそのリアルオプション・モデル(ゲーム)への応用(担当:大西・西原);3.ジャンプを伴う確率過程に対する最適停止の理論とその金融工学,リスク・マネジメントへの応用(担当:田畑・山崎)
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