ParasuramanらのSERVQUAL、Bradyらのサービス品質評価に関する3次の階層モデル、Graceらのブランド評価モデルを踏まえて、新たなサービス品質評価モデルを構築した。対象としては、プロスポーツチーム(プロ野球チーム、Jリーグクラブ)とし、2013年7月から10月にかけて、スタジアムの観客に対する実地アンケート調査を行った。チーム・選手、チームの成績などのコアなサービス、スタジアム、ファンサービス、地域貢献などの付加サービス、さらには、近年、注目されている、ソーシャル・メディア(Twitter)による口コミ効果の概念化と因果関係の分析を行った。その結果、顧客満足度が、口コミ効果およびロイヤルティに影響を与えていることが示された。また、同調査データから、入れ子による無選択を考慮したコンジョイント分析を実施して、チケット価格とサービスに関する検証を行った。その結果、座席により選好が異なり、外野席での観戦者は高価格のチケットに対する効用の低下が他と比べて大きく、内野席での観戦者はチケットを購入しないという選択肢をより強く意識していることが分かった。その他、principal points を用いた試合観戦に関する決定要因の分析も行った。 同様に、それらのサービス品質評価モデルを踏まえて、ACSIに基づくプロ野球およびJリーグの満足度指数モデルの構築を行い、顧客満足度を中心とした構成概念のスコア化を行った。特に、プロ野球については、従来の研究成果を利用し、2009年1月下旬から2014年1月下旬のインターネット調査結果によるプロ野球の満足度指数モデルおよび成長曲線モデルにより総合満足度スコアに関する経年変化の考察を行った。全体的に、ファンサービス・地域貢献の影響が大きく、総合満足度スコアの変化については減少傾向であることが分かった。
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