研究概要 |
防煙垂れ壁で囲われた空間で火災が発生した場合,防煙垂れ壁で囲われた天井面下にその深さに応じた厚みを有する煙層が形成される。天井下に蓄積した煙層内を流れる天井流の温度は,煙層が形成されていない場合(無限天井下)の天井流と異なる温度減衰性状を示すと考えられる。 そこで,防煙垂れ壁を設置した天井空間(5.8 m × 8.5 m)を用いて,発熱速度(8.5, 22,40,98 kWの4通り),防煙垂れ壁の深さ(0, 0.3, 0.5, 0.7 mの4通り),天井高さ(0.94, 1.56, 2.78mの3通り)を変数とした小規模火災実験を行った。 その結果,垂れ壁設置時の天井流温度が垂れ壁の深さと天井高さの関係性に依存すること,天井流の移動距離に対する温度の減衰率は垂れ壁が深くなるほど徐々に緩慢になること,比較的厚い煙層が形成される条件下での天井流は,水平伝播の過程で煙層のみを巻き込むが,煙層の厚みが薄い場合には,煙層と空気の双方を巻き込むことなどが実験的に明らかとなった。 これらの測定結果と,充分に厚い煙層内を流れる天井流を対象として提案された既存の温度予測手法を出発点として,防煙垂れ壁で囲われた天井下面に蓄積した比較的に薄い厚みを有する煙層内を流れる天井流の温度性状予測手法(薄煙層流れモデル)を提案した。 また無限天井下を流れる天井流については,昨年度に模型実験結果をもとに導出した各関係式と実大規模の測定結果と比較し,適用性を確認した。
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