1)社会反応の定量化の試み ①食品等による健康被害に関する新聞報道とテレビ報道の差異、特徴を把握するために、「福島原発事故」に関する両メディアの報道量、及びその推移について分析を行った。②テレビ番組で報じられた「福島原発事故」に関する報道と、うち食品に関するキーワードを含む報道を抽出し、その累積報道時間と経過日数について回帰分析を行い、他の食品関連の報道との比較を行った。③食品に関するテレビ報道は、おおむね線形に回帰することが明らかとなり、新聞と異なり、事件の性質による回帰式の特徴は見られなかった。 (2)リスクコミュニケーションの問題点の調査とその解決策の検討 ①科学的・客観的に安全であると評価されることと、人々が主観的に安全であると認識し、食品などを実際に消費・使用するようになることにはかい離がある。医療においても客観的な安全と主観的な安心の違いがある。客観的な安全から主観的な安心に至る意識・行動変容のプロセス等について、調査・分析を行った。②人々の意識・行動変容の契機となりうる情報は、医療行為に伴うベネフィットとリスク、身近な人の経験や助言等が想定され、また、その情報が誰からどのように伝えられるかによっても意識・行動変容の結果に変化を及ぼすと考えられる。意識・行動変容の契機となると想定される情報提供を行った場合の消費者(患者)の意思決定の変化について、伝達方法に関するアンケート調査を行った。③医療行為について、提供される情報の内容に影響を受けて、消費者の選択は変化する。④医療行為が持つリスクについては、自身が知っておきたいと思っている人が多く、行政や医師など専門家だけが考えることではないと考えている人も多い。健康被害において、当事者である一般消費者は重要なステイクホルダーであり、今後もより一層の配慮が求められる存在である。
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