研究概要 |
研究初年度は,ICTレスキューベストシステムの基本となるベスト部とソフト部の要素開発を行い,それらを統合し,試作システムを完成した. まず,ベスト部の試作で重要な点は,消防隊員が着衣している現状ベストと同機能レベルとなる要素技術を開発することで重要であると考え,以下3点を行った. 1)消防現場で使用できるよう防塵・防水機能を備えICT機器をベストに内蔵した. 2)救助活動時にベストが損傷しても電源,回路等から火気等が発生しない工夫をした. 3)サイズや重量が従来品より著しく拡大や増加がないように努めた. つぎに,ソフト部で重要になる点は,現場で作業をする消防隊員と遠隔地でその作業支援を行う作業者との間の有線および無線LANによるコミュニケーション環境の構築である.本研究で想定する状況は,現場を要救助者救助現場とし,その隊員が出動時に乗車してきた緊急消防車両を遠隔地と想定している.この2点間で映像および音声を共有し,遠隔地から適切なアドバイスができる双方向コミュニケーションソフトウェアの開発である.ベスト部には,3つの画像取得カメラとマイクおよびスピーカがあり,これらを用いて遠隔地の技術支援者と消防隊がストレスなく共同で救助作業を行えるプログラムを開発した.見通しのきく10mの無線LAN通信および見通しの効かない30m有線LAN通信により,前述の動作を確認した. また,平成23年8月には,本科研費の狙いを一般市民が参加できるイベントで紹介し,12月には学会発表1件,およびレスキューロボットに関心のある学生を対象に成果発表を行った.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
レスキューベストの試作機が完成し,動作テストを終了することができた.したがって,レスキューベスト試作機にたいする評価が50%は終わったことになる.今後は,その動作を数値的に評価することがひつようとなり,この部分については,次年度に持ち越したため自己評価区分を(2)とした.
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今後の研究の推進方策 |
平成23年度に製作したソフトウェアはWindowsというOSで動作するものである.現在,連携するソフトウェア会社と共同でiPadなどで有名なiOSというOSで動作するソフトウェア開発も進めている.これにより,現場へノートパソコンを持ち込むのではなく,パブレット型の情報端末でも遠隔支援が可能になり,レスキューベストのモニタリングの自由度が飛躍的に向上すると考えている.また,試作ベストでは防水ボックスに小型ICT基盤を組み込む形で防塵防水性を確保したため,当初の設計より小型ICT基盤部分が大きくなった,そのため次年度は小型ICT基盤自体をさらに小型化する方策を考えている.さらに,次年度以降は学会およびイベントにて成果公開を積極的に進めていきたいと考えている.
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