研究課題
火山噴火の予測精度を向上させるには,異常現象を経て噴火に至るケースを研究するばかりではなく,異常現象が噴火につながらないケース(噴火未遂)についても理解を深める必要がある.本研究は,マグマの上昇を阻害し「噴火未遂」に終わることを決定づける現象がどこで発生しているか,特に,マグマに含まれる揮発性成分がどの深さでどの程度失われているかに注目し,電気伝導度構造から評価する手法を開発する.最終年度は以下の調査検討をおこなった.阿蘇火山の活動変化に伴う地下の電気伝導度変化:阿蘇火山の中岳周辺において高精度電磁気探査を継続し,他の観測結果動との比較を行った.その結果,多量の降雨のあとに湯だまりの水位が上昇した場合には,地下50m程度の表層の電気伝導度が上昇した.一方,火山活動が活発化して火口底の赤熱などが起きた場合には,地下200m以深の電気伝導度が低下した.この変化は,火口下に存在すると考えられている熱水たまりの気体の量比が液体に比べて増大することにより,電気伝導度が低下したものと解釈できる.こうした微小な変化を検出したのは初めてのことである,九州および台湾の火山地域における浅部電気伝導度・温泉水調査:標記の火山地域において,浅部電気伝導度分布調査および温泉水の化学的調査を行った.その結果,これらの火山において,火道部から周辺への揮発性成分の拡散を示唆する結果が得られた.また,これに加えて,大分-熊本構造線等の活構造に対応した高電気伝導度域の存在も明らかにした.この領域には,スラブ脱水流体の上昇に伴う温泉が分布している.マグマ脱ガス量の推定法の開発:上記の結果等を受けて,火道から周辺の帯水層への脱ガス量を電磁気探査から推定する方法を開発し,雲仙火山に適応した.その結果,雲仙火山に供給されているマグマが有する揮発性成分の多くが帯水層に脱ガスしていることを示唆する結果を得た.
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 3件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (13件) (うち招待講演 4件)
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