研究課題/領域番号 |
23310122
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
竹中 博士 九州大学, 理学(系)研究科(研究院), 准教授 (30253397)
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研究分担者 |
岡元 太郎 東京工業大学, 理工学研究科, 助教 (40270920)
中村 武史 独立行政法人海洋研究開発機構, 地震津波・防災プロジェクト, 技術研究副主任 (40435847)
山田 伸之 福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (80334522)
豊国 源知 東北大学, 理学(系)研究科(研究院), 助教 (90626871)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 地震 / 自然災害 / 防災 |
研究概要 |
本年度は、南西諸島周辺域のプレート形状や地殻構造に関する利用可能な情報を収集し、広大な領域の海底地形から地下構造モデルの構築の初期モデルの構築に着手した。また、微動アレイ観測を南大東島およびトカラ列島中之島で実施した。これらの島での探査の実施は史上初の試みであり、人為的な振動の影響が極めて小さい洋上の孤島で得られた常時微動を分析することによって、島の地下構造だけでなく、自然現象起因の微動の震動特性を明らかにすることができるものと考えられる。そして、既に前年度までに微動アレイ観測を実施した多数の島嶼部でのデータ解析を行い、深さ2km程度までの1次元の深部地盤構造モデルの推定を行った。特に、南西諸島の島々における0.2~2Hzでの位相速度が得られており、これまでの研究では示されていない点である。 以上の結果から、南西諸島の島嶼部や海域における地盤構造から深部の地下構造および島地形と海底地形を取りまとめ、地震動・津波評価のための数値初期モデルを構築した。そして、この初期モデルのもとで沖縄本島周辺を含む300 km四方の領域において地震動計算を実行した。この計算では、格子間隔 100 m、最大周波数 1.3 Hz の条件で40000ステップ(200秒間)の計算を実行した。この際、構造モデルを変更して複数の計算を実行し、構造モデル(表層構造)の違いによる地震動への影響を考察した。さらに、昨年度から継続中の、自己重力項を含む運動方程式を基に地震動・津波同時シミュレーションを行う計算コードの開発をした。このコードを用いて、実際に南西諸島周辺で発生した地震について、地震波だけでなく、地殻変動の発生と津波の伝播をシミュレーション結果から確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
サブテーマ毎の段階を踏んだ計画において,各テーマでの進捗として,次年度への進展に影響はないと考えられる。特に,地震動・津波評価のための3次元数値モデルの構築への見通しがついてきているため、予定通りの進捗状況であると考えられ、上記達成度とした。
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今後の研究の推進方策 |
南西諸島地域全体の3次元地下構造モデル構築のために、地下構造情報の統合を図るとともに、現地観測や情報収集からデータの集約化・統合化を行い、海陸分布・陸地形・海水・海底地形・地下構造の総合効果の解明と予測が行えるように解析・分析作業へ比重を移していくこととする。特に、個々の島嶼部における地下構造から広大な領域の南西諸島地域の面的なモデル化および強震動予測手法の検討と実施へのステップを踏んでいく予定である。最終的には、それらの成果を一般化し、島嶼部に特化した強震動予測へ向けたストラテジーを検討する。また、本課題で取り組んだ内容に関して、順次とりまとめ論文発表等成果報告を行っていくこととする。
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