研究分担者 |
鈴木 啓助 信州大学, 理学部, 教授 (60145662)
上石 勲 独立行政法人防災科学技術研究所, 雪氷防災研究センター, 総括主任研究員 (60455251)
飯田 肇 (財)立山カルデラ砂防博物館, 学芸課, 学芸課長 (70574309)
伊豫部 勉 新潟大学, 災害・復興科学研究所, 特任助教 (50397155)
|
研究概要 |
本課題は,気温と日射量から融雪強度を高精度に推定するTemperature-Radiation Index Melt Modelの山岳地における汎用化手法の構築と雪崩防災への適用を目的としている。このモデルには地域や季節によって変わる係数が含まれていることが汎用化のネックであり,本課題では多様な気候条件下にある山岳地での集中的な観測に基づき,指標気候値による係数のパラメータ化を行う。研究初年度である平成23年度は,中部山岳地帯を南北に貫くように,大佐渡山地(800m),立山室堂(2450m),志賀高原(1620m),乗鞍高原(1590m),宝剣岳千畳敷(2630m),富士山南斜面(2400m)の6地点で融雪熱収支観測の準備を進め,平成23年11月までに観測体制を確立した。また,Temperature-Radiation Index Melt Modelと積雪層浸透モデルを組み合わせて得られる積雪底面流出量の短時間変化に着目して,湿雪全層雪崩とスラッシュ雪崩の危険度評価手法を開発するため,大佐渡山地,立山室堂,宝剣岳千畳敷,富士山南斜面に雪崩監視用のインターバルカメラを取り付けるとともに,大佐渡山地斜面に融雪ライシメータを設置した。さらに,できるだけ多様な気候下でのデータを得るため,平成23年6月にCentro de Investigacion en Ecosistemas de la Patagoniaと共同でチリ・パタゴニアのポルテスエロイバニェス(1100m)に融雪熱収支観測及び雪崩監視用の測器を設置し,観測を開始させた。この観測では,一時期,温湿度計及びカメラに不具合が生じたが,海外共同研究者の協力により回復した。現在,各地点とも正常にデータ取得ができており,完全に消雪するまで観測を継続し,その後直ちに熱収支解析を行った上でモデル係数を算出する予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
現時点では,ほぼ当初の研究計画に従って研究を推進する予定であり,大きな問題点や研究計画の変更等はない。ただし,平成25年度から開始させる計画であったチリの2箇所目の観測点に関して,観測地点の適地が早期に定まれば,計画を1年早めて平成24年度中に観測体制を整える可能性がある。
|