研究課題/領域番号 |
23310127
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
有尾 一郎 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (50249827)
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研究分担者 |
田中 義和 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (00335704)
中沢 正利 東北学院大学, 工学部, 教授 (20198063)
松本 慎也 近畿大学, 工学部, 准教授 (30325154)
椿 涼太 広島大学, 工学(系)研究科(研究院), 助教 (80432566)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 仮設橋 / 展開スマート構造 / 多重折畳み / ライフライン防災 / モバイルブリッジ |
研究概要 |
近年、地震、津波、集中豪雨などによる自然災害が多発し、道路や橋梁などのライフラインが寸断し、それらに対する災害リスクが高まっている。復旧の速さは生活に関わる優先かつ重要な課題である。しかしながら、復旧時間を最優先とした復旧工法に関する近代的なツールが乏しいのが実状である。そこで、本研究課題は、展開構造物の発展とその可能性を確証するために、スマート構造概念に基づく、多重に折畳める仮設橋システム「モバイルブリッジ」の実験橋を実際に製造し、設計解析ならびに強度実験によってその可能性を検証することにある。構造解析学上の後座屈解析理論から生み出された多重折畳み展開機構による革新的な橋の構造体としての技術を伸展させることによって、次世代の安全でスマートな橋システムの実験橋の開発を進めている。 今年度は、7月に九州北部豪雨によって数多くの橋が流され、現場の被災調査・分析を実施するとともに、本研究課題の核心部である、実験橋の製造にある。そのために、設計、予備実験、メーカー協力による車両用の事前試作機(10m程度)の製作によって、折畳める伸縮橋の設計のための機能、特性、実験検証、実際の部材強度試験など、初の構造形式となる仮橋開発の実現可能性を成功させなければならなかった。開発のための各種プロセス・工程を経て、10.26には静岡県富士市にある施工技術総合研究所にて報道機関に試作機の展開と車両走行実験を公開した。実際にこの事前試作機の製作を行うことによって、開発すべき課題を明らかにするとともに、より現場での機動性と迅速展開架設を実現させるためのノウハウを得るとともに、部材の強度保証を解析だけでなく実際に強度実験によってその保証強度を確認した。年度末には、事前試作に基づく更に大型の展開装置を兼ね備えた、初のシザーズ展開架設仮橋システムが完成した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
試作製作や実験コストの開発予算に関して課題はあるものの、サイズ、使用材料や機能等を厳選し、実験橋の図面も検討しつつ、使用する部材断面や材料を更新し、ベターな方法を選択しながら、製作ができた。完成後に実験橋を公開し、新しい仮橋の展開動作試験も確認し、無事に成功させた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、車両が走行できるように各部材実験や補強実験を実施し、車両が通行可能な状態環境を整えていくとともに、事前試作機と組み合わせた、各種現場フィールド実験を計画していきたい。
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