研究課題
本研究では、かつて計画的な治水・利水が行われたと考えられる佐賀平野を研究対象フィールドとし、どのような流域対応の効果的治水施策が行われたのかを地盤工学的・水工学的アプローチによって定量的に評価し、今後の我が国の流域での対応による治水の具体的方策として提案することを目的として研究を進めた。佐賀平野東部を流れる城原川の1番霞堤周辺堤内地および5番野越遊水地内の地盤高変動の挙動を氾濫流と土砂輸送解析によって再現することができた。受堤付近の洗掘傾向とそれ以外の地点の堆積傾向があることが明らかとなった。また、これまでに行ってきた定方位板状地盤調査(ジオスライサー)による堆積層の調査結果と比較した所、受堤と思われる盛土層が確認された。受堤の位置が当初想定していた方向とは違い、より河川本堤に近いライン上にあることが分かった。また、ジオスライサーで採取した土粒子の粒度分布試験結果より、平均粒径は38.9μm~0.13mmの範囲にあり、特に洗掘傾向を示した位置で粒径が小さい傾向を示した。また、1番霞堤については別途、本川と堤内遊水地を含む領域において3次元流れ解析を実施することで、霞堤付近の詳細な流れの再現を行い、霞堤付近の境界条件の与え方の確認を行った所、本間の式で十分に境界条件を与えうることが分かった。また、霞堤の受堤と本堤の間の一次貯留水は、本堤の強度増加に寄与することも定量的に示すことができた。さらに、流域治水の総合的検討課題として、佐賀平野大河川の瀬替えの理由について検討した。その結果、瀬替えの大きな理由としては、瀬替えによる河川の合流が平水時・低水時の水位上昇を引き起こし、河川の蛇行部の影響や有明海の大きな干満差と相俟って、大型船舶の航行を可能にしたことやアオ取水による豊穣な農地拡大に繋がっていた。つまり、自然の恵みをさらに高めていたことが明らかとなった。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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