研究課題/領域番号 |
23310130
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
伊藤 隆司 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (90201326)
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キーワード | ヒドロキシメチル化 / 次世代シーケンサ / TET1 / TET2 / エピジェネティクス / 脱メチル化 / DNAメチル化 / 1ハイブリッドシステム |
研究概要 |
哺乳類ゲノムDNAの塩基修飾として、シトシンの5位のヒドロキシメチル化が見出され、新しいエピジェネティックマークとして注目を集めている。しかし、ゲノム内におけるその分布はまだ明らかにされておらず、これを認識する分子機構も全く理解されていない。 そこで、本研究ではこれらの問題に迫るために、1)5ヒドロキシメチルシトシン(5hmC)の位置をゲノムワイドに一塩基解像度で同定する方法、2)ヒドロキシメチル化DNAを認識するタンパク質を同定する酵母1ハイブリッド法、の2つの独自技術を開発する。 1)については、まず、βグルコシレースとMspJIを用いる方法として、以下の手法を考案した。(1)ゲノムDNAを制限酵素MspJIで消化後、アダプタを付加する。(2)βグルコシレース処理を行いヒドロキシメチル化CpGを中心に持つMspJI断片のみを修飾する。(3)再度MspJIで消化することでメチル化CpGを中心に持つMspJI断片とアダプタを切断する。(4)アダプタープライマーで増幅して得た断片をシーケンスする。しかし、MspJIによる切断が安定せず、実用的でないことが分かったので、この方法の開発は中止した。 次に、細菌由来のDNAメチレース(M.HhaI,M.SssI)をS-adenosyl-methionine(SAM)非存在下で作用させることで、脱ヒドロキシメチル化を起こす方法についても検討を加えた。報告された反応自体の追試には成功したが、まだ反応効率は十分ではなかった。M.HhaIについては市販標品の中にSAM結合型分子が混在するようでメチル化反応が起こることも判明した。そこでそのような問題のないM.SssIに集中して検討を行うこととした。 2)については、TET1およびTET2に関して、産総研BIRCの協力を得て完全長cDNAクローンを整備入手して、1ハイブリッドシステム構築の準備を整えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
第一の課題に集中して開発を進めたが、市販の酵素類が、当初期待した程の活性を示さなかったり予想外の挙動を示したために、手法の開発に手間取り思うように進まなかった。その影響で第二の課題への着手も遅れた。
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今後の研究の推進方策 |
研究の動静から判断するに、第一の課題の重要性が高まり競争も激化している。そこで今後はこちらに主に注力をする。特に、当初予定していた酵素を用いる方法に拘泥することなく、最近になって報告された5hmCに特異的な化学的変換反応も積極的に取り入れて、実用レベルの新手法開発に集中する。
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