研究課題
本研究は、細菌に広く分布・保存され、グローバルな転写制御のみならず、外来性遺伝子群の制御、さらにはゲノム進化に深く関わる核様体タンパク質に焦点を絞り、核様体タンパク質の結合部位を、高速シークエンサーIllumina GAIIxを用いたChIP-seq解析により、様々な細菌種にわたりゲノムワイドに比較解析することを第一の目的としている。また、細菌における核様体タンパク質とゲノムの関わり、進化過程を明らかにし、細菌ゲノム機能の変化・多様化の機構について、新たな概念の提案を行う事を最終目標に据えている。研究期間にわたり、すでにゲノム完成配列が公開されている大腸菌実験株K-12(subgroup A),ヒト腸内常在菌SE11株(subgroup B1)、SE15株(subgroup B2)の大腸菌3株において、ChIP-seq解析および比較ゲノム解析によりH-NSの結合位置を高精度に決定した。その結果、3株のゲノム配列間で良く保存されている共有ゲノム領域におけるH-NSの結合は、しばしばその領域の配列多様性が大きいにも関わらず高度に維持されており、ゲノム配列の多様化がH-NS結合位置に対して影響を与えない事が明らかとなった。また、すでにゲノム全配列が公開されている大腸菌46株の比較ゲノム解析により、大腸菌ゲノムで多様化が極端に進んだ領域には高頻度にH-NSが結合する傾向があり、その領域にはホストである哺乳類腸内環境において重要な役割を果たしている遺伝子が存在する事がわかった。また、H-NSの結合領域は、遺伝子領域、遺伝子間領域の区別無く、ニュートラルな進化が起きている事も明らかになった。これらの結果から,H-NSは単に遺伝子の発現抑制のみならず,遺伝子の変異蓄積を許容することによる大腸菌ゲノムの多様化さらには生息環境への適応をもたらしている事を示唆している。
平成25年度が最終年度であるため、記入しない。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2014 2013
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件)
DNA Res.
巻: 21(2) ページ: 217-227
10.1093/dnares/dst052
J. Gen. Appl. Microbiol.
巻: 60(1) ページ: 44-50
10.2323/jgam.60.44
J Plant Res.
巻: Epub ページ: Epub
10.1007/s10265-014-0627-1
Genome Announc.
巻: 1(4) ページ: e00577-13
10.1128/genomeA.00577-13
Frontiers in Aquatic Microbiol.
巻: 4 ページ: 1-14
10.3389/fmicb.2013.00414