研究課題/領域番号 |
23310133
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
筒井 研 岡山大学, 自然生命科学研究支援センター, 教授 (70108158)
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研究分担者 |
宮地 まり 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (50349255)
細谷 修 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (90304310)
佐野 訓明 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (00294405)
筒井 公子 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (70144748)
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キーワード | 遺伝子 / ゲノム / 酵素 / 発現制御 / 発生 / 分化 |
研究概要 |
本研究では、次世代シークエンサーを用いた網羅的方法(eTIP-seq)によりDNAトポイソメラーゼIIβ分子(トポIIβ)のゲノム作用点(トポサイト)を同定し、さらにトポIIβ作用点の三次元分布地図を作成する手法(eTIP-PES)を開発して、分化過程にある神経細胞での遠隔ゲノム部位間の相互作用と遺伝子の発現制御へのIIβの関与を明らかにする。精神疾患の診断・治療に応用可能な基礎的知見の獲得を目指している。 初年度に設定した2項目について次のような成果が得られた。 1)遺伝子発現とトポサイトの再解析 初代培養の神経細胞を用いて、分化の前後とトポIIβ阻害の有無での発現量の違いをmRNA-seqで網羅的に解析し、遺伝子を10の発現グループに分類した。また、eTIP-Seqを行って、トポサイトを3つのクラス(c1,c2,c3)に分類した。トポIIβに依存して発現が誘導される一群の遺伝子(Al)と、逆に発現が抑制される遺伝子(C3)を同定した。これらトポIIβで発現が制御される遺伝子は同じグループ同士が隣接する傾向が有意に高いことから、トポIIβは個々の遺伝子に作用するのではなく、特定のゲノム領域に作用して局所的なクロマチン高次構造を変化させていることが示唆された。一方、c1トポサイトは多くの遺伝子の転写開始部位近傍に有意に多く、トポIIβが転写開始部位の構造を維持する役割を担っていると考えられた。 2)eTIP-PES方法論の確立 IPされたトポIIβ反応中間体に結合したDNA断片同士のライゲーションによって得られる遠隔ゲノム部位間のキメラ断片が効率よく生成される条件を確立した。次世代シーケンサーの配列データ(リード)から様々なノイズを除去して有効なリードを抽出し、ペアエンドをゲノム上にマッピングする手順を確立した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
次世代シークエンサーの使用に関して、連携研究者・桑野の協力が得られ、新学術領域研究「ゲノム支援」にも採択されたため、比較的円滑に行われた。
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今後の研究の推進方策 |
現在判明している問題点として、ビーズ上で隣接するトポIIβ反応中間体との間にできるキメラDNA断片(トランスキメラ)の生成が無視できないことがある。中間体をビーズから遊離させた後にライゲーションを行い、さらに総リード数を増加させるという方策を考えている。
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