研究課題/領域番号 |
23310133
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
筒井 研 岡山大学, 自然生命科学研究支援センター, 教授 (70108158)
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研究分担者 |
佐野 訓明 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (00294405)
宮地 まり 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (50349255)
筒井 公子 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (70144748)
細谷 修 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (90304310)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 遺伝子 / ゲノム / 酵素 / 発現制御 / 発生・分化 |
研究概要 |
本研究では、次世代シークエンサーを用いた網羅的方法(eTIP-seq)によりDNAトポイソメラーゼIIβ分子(トポIIβ)のゲノム作用点(トポサイト)を同定し、さらにトポIIβ作用点の三次元分布地図を作成する手法(eTIP-PES)を開発して、分化過程にある神経細胞での遠隔ゲノム部位間の相互作用と遺伝子の発現制御へのIIβの関与を明らかにする。 平成24年度に設定した3項目について次のような成果が得られた。 1)eTIP-PES法の完成:総リード数を増加させ、キメラの両端がトポサイトと一致するものを選択することによってノイズが劇的に減少し、真の相互作用の同定が可能になった。Chr1のみの解析を行ったところ、染色体内で高頻度に相互作用をもつinteraction hotspotsがいくつか見つかった。 2)ChIP-seqによるSP120結合部位の解析:SP120結合部位には大別して2種類があることが判明した。反復配列を含みトポサイトとは一致しない部位と、これより数は少ないが、トポサイトや相互作用のホットスポットと一致する部位である。SP120は多機能タンパク質で様々な相互作用パートナーをもつが、後者の部位はトポIIβと複合体を形成して存在する分子を表わしていると考えられる。SP120がこの部位にトポIIβを導くか否かについては、未だ不明である。 3)他の細胞分化系への適用:分化の最終段階にある網膜桿状体視細胞と、胎児脳から取り出した分化過程にある海馬神経細胞の培養系を使用して、細胞核のクロマチン形態と遺伝子の発現誘導に対するトポIIβの影響を調べた。小脳顆粒細胞と桿体細胞ではトポIIβ活性に依存してクロマチン凝集度のグローバルな変化が観察された。小脳顆粒細胞では発現していない幾つかの神経関連遺伝子が、海馬錐体細胞ではトポIIβの制御を受けて転写誘導されることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
次世代シークエンサーの使用に関して、連携研究者・桑野の協力が得られ、新学術領域研究「ゲノム支援」にも採択されたため、比較的円滑に行われた。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き、それぞれのマッピングに最適な配列データの解析法を模索しつつ、統合されたマップを用いて相関分析を行ってトポIIβの役割を解析する。また、検出された遠隔相互作用の確認実験として、ChIP-qPCRや3D-FISHを行う。
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