研究課題/領域番号 |
23310134
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
大川 恭行 九州大学, 医学研究院, 准教授 (80448430)
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研究分担者 |
岡田 誠司 九州大学, 医学研究院, 准教授 (30448435)
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キーワード | クロマチン / 骨格筋分化 / 次世代シークエンサー / ジーンクラスタリング |
研究概要 |
本研究では、骨格筋分化を前駆細胞より成熟した筋線維分化する各分化段階でのクロマチン構造を、ヒストン修飾、クロマチンリモデリングをはじめとする遺伝子座領域の局所的領域の高次クロマチン制御から遺伝子座の位置を解析する染色体構造に至る多くのスケールレベルで解析を行うことで、骨格筋分化の運命決定に関わる制御機構の解明を目指している。本年度は分化段階の詳細な分類を、マウス胚組織と培養細胞の両方を用いてRNAseqを用いた遺伝子発現プロファイリングにより行った。また次にマウス胚等の各骨格筋分化段階の核を用いた解析により、骨格筋特異的な遺伝子座の空間配置制御が、プロモーターやエンハンサー領域に限局して、未分化時に同調して起こり、分化に伴い消失することを明らかにした。更にこのプロモーター、エンハンサー領域に着目し、様々なクロマチンリモデリング因子への変異導入を行うことで遺伝子座集積現象に関与する分子の探索を行った。その結果Chd2クロマチンリモデリング因子を同定した。Chd2の骨格筋分化における機能解析を進めた結果、ヒストンバリアントH3.3を骨格筋遺伝子座へ選択的に取り込みを行っていることが明らかにした。興味深いことに、Chd2は単独では、DNA結合能を有しておらず骨格筋特異的な転写因子であり分化のマスター遺伝子であるMyoDが、キャリアーとして機能することで、選択的なゲノムへのリクルートメントが行われていることを突き止めた。これは従来転写因子として知られていたMyoDが、転写そのものではなく、ヒストン置換に関わることを示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
高次クロマチン制御にかかわる因子としてChd2の機能を明らかにし、その分子機能がH3.3バリアントの選択的な取り込みを担っていること、さらにこの取り込みが染色体間の核内高次構造の形成に大きくかかわっていることを解明した。ここまで、予定されたペースを大幅に上回る形で解析が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
現在次世代シークエンサーを用いたChIP-seq解析により更に高次クロマチン構造解析を多角的に進めており、ゲノムワイドな視点での知見が蓄積されることが期待される。それに伴い当初予定していたマウス胚での解析に加えて培養細胞を併用した柔軟な解析対象の拡大も検討している。
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