研究課題
細胞分化初期の骨格筋分化において、遺伝子座が核内で集積するジーンクラスタリング現象を見出してきた。この形成は骨格筋のみならず、脂肪細胞や色素細胞等複数の細胞分化、特にクロマチンリモデリング因子Brg1の活性化に関わるものに多く見られた。 クロマチンリモデリング因子の活性化を抑止した細胞では遺伝子近接現象が消失し、且つ骨格筋分化も抑制された。同様の現象がシグナル伝達経路依存的に脂肪細胞分化にも起こることが明らかとなり報告をした。そしてBrg1 を起点とするジーンクラスタリング現象について更に解析を進めることとした。その結果、Brg1の活性化を抑制した場合、これまでの骨格筋分化で見受けられた知見同様に(1)分化初期に認められるジーンクラスタリングがおこらない、(2)その後RNA factoryの形成も阻害される、ことが明らかとなった。これは転写において、ジーンクラスタリングが転写そのものを制御しているわけではなく、転写開始以前になんらかの高次制御を行っていることを示唆している。本発見は、我々のこれまでの知見を別の発生分化系である脂肪細胞分化系で検証できたものである。そこで我々は、更にギガシークエンサーを応用した4Cを用いた効率的なアプローチを取り入れた。バイアスなしにゲノムワイドなジーンクラスタリング現象の把握が可能であり、現在広く取り入れられている解析である。解析の結果、分化段階特異的な遺伝子座近接部位がゲノム上に存在すること、その多くが遺伝子のプロモーターもしくは他の制御領域に位置していることが明らかとなった。また、細胞を問わず常に他の遺伝子と近接している領域が存在しており、強固な高次構造の骨格となる構造体が存在していること、そしてこれらの構造がさまざまな遺伝子群の発現制御に正負両面から多面的に関わっていることが示唆された。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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