研究課題
我々は、可変型遺伝子トラップにより得られたトラップESクローンの中で、5’RACEの結果から、2009年Guttmanらによって発表されたLarge intervening RNA (lincRNA)をトラップしている可能性が高いと考えられる19クローンを選び、マウス系統を作製し、解析を行っている。それらのクローンのトラップベクターの挿入部位を詳細に解析した結果、挿入部位がLincRNA遺伝子領域外にあり、LincRNA遺伝子を破壊していないもの、挿入部位が5’RACE結果と矛盾するもの、別の遺伝子断片を巻き込んで挿入しているクローン等があることがわかり、それらを除いた13系統を解析対象として絞り込んだ。これらのマウス系統を用い、X-gal染色による発現解析とヘテロ接合体同士の交配で得られた産仔の遺伝子型解析を行った。成体に置いては11系統において染色が観察され、これらのlincRNAがマウス個体においても発現していることが強く示唆された。10系統において脳で発現が観察され、脳におけるlincRNAの役割を示唆しており興味深い。その他に、胸腺で強いライン、心臓で強いライン、膵臓で強いライン等もみられた。発生時期での解析では、1系統で胎盤での強い発現が観察された。胎児における発現は、比較的弱く局部的であることが多く、今後、どのような細胞レベルでの同定が必要である。ヘテロ接合体同士の交配を行い、ホモ接合体が出生・離乳するかどうか、12系統において検討したところ、10系統では正常な割合でホモ接合体が出生・離乳することが分った。1系統はX染色体への挿入であるが、X染色体を1本しか持たないオスが外見上正常なので、顕著な表現型はないと考えられる。1系統ではホモ接合体の割合が少ない傾向が観察されたので、今後詳しい解析を行う予定である。
2: おおむね順調に進展している
挿入部位解析は全て終了し、解析系統を13に絞り込むことが出来た。それら全ての系統で、X-gal染色による発現解析も、成体・胎児期両方で一通り終了した。ホモ接合体が出生・離乳できるかどうかも12系統で検討できている。
各系統において、lincRNAのRT-PCR解析を行えるよう、プライマーやPCR条件を検討し、ホモ接合体において、トラップしたlincRNAの発現を調べる。今までホモ接合体は離乳までしか観察していなかったが、今後は、成体になるまでの体重曲線や、血液検査等より詳しい解析を行う。X-gal染色で染色陽性であった組織・胎児については、組織切片レベルでの解析を行い、発現細胞を明らかにしていく。
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