研究課題
我々が樹立した遺伝子トラップクローンの中で、2009年Guttmanらによって発表されたLarge intervening non-coding RNA (lincRNA) 領域及びその近傍にトラップベクターが挿入されている13系統を用い、発現解析と表現型解析を行った。各マウスラインの成体およびembryoを用いてX-gal染色による発現パターン解析を行ったところ、13系統中、全く発現の見られなかったものは1系統のみで、残る12系統では染色は弱いものの、組織特異的発現を示し、これらのlincRNA遺伝子が実際に成体で発現していることがわかった。次に、ヘテロ接合体同士の交配を行い、ホモ接合体が得られるかどうか調べたところ、13系統全てでホモ接合体が出生することが分ったが、1系統はホモ接合体の出生割合が極端に少なかった。そこで、ヘテロ接合体を用いた体外受精で得た胚からのES細胞樹立も行なったが、ホモ接合体の割合は低く、ブラストシスト前で致死になる可能性が示唆された。我々のトラップベクターは、変異lox部位を組み込んでいるので、Creによる部位特異的組換えでベクター挿入部位に任意の遺伝子を挿入することが可能である。そこで、ユビキタスなプロモーターであるCAGの下流にlincRNA遺伝子全長のcDNAを接続し、変異lox部位と薬剤耐性遺伝子を持つ置換ベクターに挿入、トラップES細胞にCre発現ベクターと共導入することでトラップベクター挿入部位にノックインし、lincRNA遺伝子の過剰発現を試みた。その結果、1系統において、ラ氏島の萎縮による高血糖と糖尿病の発生が観察された。他の部位での過剰発現では高血糖にはならないことから、lincRNA遺伝子の過剰発現が周辺遺伝子に影響を与え、ラ氏島の細胞死につながったと考えられる。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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