研究課題
我々は以前の研究で、ヒストンメチル基転移酵素であるSMYD3が、ヒトの大腸がんや肝細胞がん、乳がんで高頻度に発現上昇していることを報告した。さらに、SMYD3が特定の配列をもつDNA領域に結合し、転写を調節していることを示した。本研究では、4種類のSMYD3特異的siRNAとcontrol siRNAで処理した大腸がん細胞株を用いた網羅的遺伝子発現解析と、SMYD3特異的抗体を用いたChIP on chip解析を行い、SMYD3が直接制御する下流遺伝子群の同定を試みた。その結果、SMYD3によって有意に発現増加する1543個の遺伝子と、4つのsiRNAのうち3つで共通して発現制御される608個の遺伝子を同定した。これらのデータを用いたgene set enrichment analysisにより、それらの遺伝子を調節する可能性のある126個の転写因子群を見出した。ChIP on chip解析では、SMYD3と結合が示唆される4070か所の候補調節領域を発見し、遺伝子発現解析のデータと合わせた解析により、SMYD3が直接制御する110個の下流候補遺伝子群を同定した。さらにgene ontologyを用いた統合的解析を行い、SMYD3の発現が細胞周期調節に深く関わっていることを見出した。これらの結果は、SMYD3ががん細胞の増殖に重要な役割を演ずることを示すとともに、その機能抑制が有望ながん治療戦略になることを示唆している。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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