研究課題/領域番号 |
23310138
|
研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
眞貝 洋一 独立行政法人理化学研究所, 眞貝細胞記憶研究室, 主任研究員 (20211972)
|
キーワード | エピジェネティクス / ヒストンメチル化 / 転写抑制 / 内在性レトロウイルス / ヒト / ES細胞 / iPS細胞 / ESET/SETDB1 |
研究概要 |
ヒトをはじめとして哺乳類のゲノムの50%以上の領域は、遺伝子をコードしない反復配列によって占められている。この反復配列のほとんどはゲノム中を飛び回る能力を持っていた転移因子に由来しており、内在性レトロウイルス(ERV)はその1つのグループを構成するレトロ転移因子で、ヒトではゲノムの~8%を占める。最近我々は、マウスの発生初期の細胞で特異的に機能しているプロウイルス(ERV)の発現抑制機構に、ヒストンリジンメチル化酵素ESETが非常に重要な役割を持つことを明らかにした。 ヒトのERV(HERV)は、前述のようにゲノムの~8%を占めるものの、塩基配列解析の結果からは転移能を持つコピーは存在しないと推察されている。しかし、転写活性のあるコピーはまだいくつも存在し、組織特異的にあるいはがん細胞特異的にHERVsの転写あるいはコードされているタンパク質が検出されており、ヒトの生命機能や病態(特にがん化との関連)におけるHERVsの重要性が示唆されている。 本研究では、HERVのエピジェネティックな転写抑制機構の実体を明らかにし、その生物学的重要性を検討する。 今年度は以下の実験を行った。 ヒトEsならびにiPS細胞でもESET/SETDB1によりHERVsの転写抑制が起きているかを検証するために、ESET/SETDB1をコンディショナルにノックアウト出来るヒト細胞の樹立を開始した。具体的には、SETDB1のノックアウトに使うジンクフィンガーヌクレアーゼ(Zinc Finger Nucleases,ZFNs)をデザインし、ターゲティングを開始した。また、SETDB1の発現を相補するために、外来性にSETDB1が発現できるシステムの構築を開始した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
SETDB1のノックアウトに用いるZinc Finger Nucleases(ZFNs)のデザインとその合成・検証に時間がかかり、ターゲティング実験を開始するのが予定より遅れたことによる。
|
今後の研究の推進方策 |
SETDB1のターゲティングに必要な試薬は揃ったので、計画通り実験を進めてゆく。
|