研究課題/領域番号 |
23310138
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
眞貝 洋一 独立行政法人理化学研究所, 眞貝細胞記憶研究室, 主任研究員 (20211972)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | ヒストンリジンメチル化酵素 / SETDB1/ESET / ヒトES細胞 |
研究概要 |
ヒトのERV (HERV)は、ゲノムの~8%を占めるものの、塩基配列解析の結果からは転移能を持つコピーは存在しないと推察されている。しかし、転写活性のあるコピーはまだいくつも存在し、組織特異的にあるいはがん細胞特異的にHERVsの転写あるいはコードされているタンパク質が検出されており、ヒトの生命機能や病態(特にがん化との関連)におけるHERVsの重要性が示唆されている。 本研究では、HERVのエピジェネティックな転写抑制機構の実体を明らかにし、その生物学的重要性を検討する。 今年度は以下の実験を行った。 ヒトESならびにiPS細胞で、ヒストンリジンメチル化酵素ESET/SETDB1により、HERVsの転写抑制が起きているかを検証するために、ESET/SETDB1をコンディショナルにノックアウト出来るヒト細胞の樹立を試みた。具体的には、昨年度デザイン・購入したSETDB1のノックアウトに使うジンクフィンガーヌクレアーゼ (Zinc Finger Nucleases, ZFNs )を用いて、引き続きSETDB1のターゲティングを試みた。また、SETDB1の発現を相補するために、外来性にSETDB1が発現できるシステムの構築を開始した。複数回のトランスフェクション実験を行ったが、残念ならが目的のローカスにターゲットした細胞の樹立にいたらなかった。現在、TALENsあるいはCRISPRといった違うターゲティング法でのSETDB1ノックアウトを計画している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究の狙いは、上述したように、HERVのエピジェネティックな転写抑制機構の実体を明らかにし、その生物学的重要性を検討することにある。そのためには、まず標的とするエピジェネティクス制御因子(今回はヒストンリジンメチル化酵素SETDB1)のノックアウト細胞を樹立することが前提であるので、まだそのステップに至っていないことから、達成度は十分とは言えない。上でも述べたように、最近別の方法論でノックアウト細胞の樹立が可能になってきているので、それを活用することで、第一段階をなんとか早くクリアできるよう検討したい。
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今後の研究の推進方策 |
上でも述べたように、最近別の方法論でノックアウト細胞の樹立が可能になってきているので、それを活用することで、第一段階をなんとか早くクリアしたい。 一方、SETDB1のChIP-seq解析を行うことは、ノックアウト細胞の樹立を待たなくても可能なので、SETDB1がどのようなHERVsを標的としていることの検討を並行して進める。
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