遺伝子量不均衡により細胞機能に悪影響を及ぼす遺伝子のことを量的均衡遺伝子(DBG)と呼ぶ。DBGの多くは、病気の原因遺伝子である可能性が指摘されている事に加え、DBGはゲノムの基本構造を決めている可能性もある。しかし、実際の生物のゲノム上にどれくらいDBGが存在しているのかは全く分かっていない。そこで本研究では、出芽酵母のDBGとそのパートナーを、申請者が開発した遺伝子綱引き法により網羅的に同定し、DBGとそのパートナーが作るネットワークの全容を明らかにする事を目的とする。本研究で得られる知識は、ゲノムの進化や完全性の維持機構を考える上で非常に重要な役割を果たすと考えられる。さらには、遺伝子コピー数の変化によって生じる病気の原因遺伝子の解明やその発症メカニズムの解明にもつながると期待される。 平成25年度までの研究で、出芽酵母の量感受性遺伝子115を同定し、それらのどれがDBGであるかを明らかにしてきた。平成25年度はDBGの同定をさらに拡大し、115この量感受性遺伝子のパートナーとなる分子を遺伝子ライブラリーを用いたスクリーニングにより行った。
|