研究課題/領域番号 |
23310141
|
研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
高井 和幸 愛媛大学, 理工学研究科, 教授 (40260848)
|
研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | タンパク質合成 / 翻訳 / 再構成 / コムギ |
研究概要 |
43S開始複合体を構成するeIF1, 1Aの組換え発現の条件を最適化することを試みたが,少なくとも量の面では安定して調製できる方法が確立できた.eIF2については,eIF5を用いて精製する方法を試みたところ,1つのサブユニットのみが回収された思われる結果が得られた.アミノアシルtRNA合成酵素のうち,イソロイシルtRNA合成酵素については,ナショナルバイオリソースプロジェクト(NBRP)のcDNAライブラリの中にそれらしいものが合ったので,それのcDNAの中で情報の無かった部分の配列の確認がほぼ終わった.アラニルtRNA合成酵素については,大腸菌で全長cDNAからは発現が見られず,N末部分を削るとわずかに発現することがわかった.フェニルアラニルtRNA合成酵素については,2種のサブユニット共に発現するが,片方についてはC末に導入した精製タグが樹脂に結合しないことがわかり,現在,弱い変性条件で抽出することなどを検討している.ロイシルtRNA合成酵素についても発現するがタグが認識されないことがわかった.これらにより,翻訳の正確さを測定する再構成系の確立に一歩近づいた.一方,正確さの測定に重点を置いたため,開始複合体を構成するeIF3,eIF4Gをリボソーム画分から回収する方法については,十分に検討できなかった.eIF2Bについては5種のサブユニットのcDNAを発現ベクターに組み込んで発現させることを試みたが,ほとんど発現しないため,方法を検討中である. 一方,発現条件を検討する際に発現ベクター上でN末端部分やC末端部分を入れ替える必要が生ずることが多いので,それに柔軟に対応できるようにベクターを改良した.
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初,開始複合体に含まれる翻訳因子を優先的に単離する予定であったが,実際にやってみるとeIF2の調製が予想よりも困難であったため,時間がかかっている.アミノアシルtRNA合成酵素の調製については,予定よりもたくさんの労力をかけたために,予想よりは多くのことができたが,それでも事前に予想したよりは難しいタンパク質が多いことが判った.遺伝コード翻訳の正確さを測定する系についてはほぼ予定通りに進んでいる.従って,全体としては予定よりも遅れている.一方で,研究を少しでも加速するための方策が必要と考えて,計画としてははっきりさせていなかったが,発現ベクターの改良を進め,25年度の後半には種々の条件検討がしやすくなった.従って,これも含めれば,大きな遅れではない.
|
今後の研究の推進方策 |
開始因子についてはeIF2の調製法がネックなので,これについて重点的に研究する.アミノアシルtRNA合成酵素については,翻訳の正確さを測定する系を確立させるために必要なフェニルアラニンとロイシンのものついて優先的に単離を進める一方,他のものについても発現を試みる.また,研究を加速させるため,これまでに市販の発現ベクターにバラバラに組み込んだcDNAを改良ベクターに移して,できるだけ操作を統一できるように試みる.
|