研究課題/領域番号 |
23310142
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研究機関 | 独立行政法人農業生物資源研究所 |
研究代表者 |
土岐 精一 独立行政法人農業生物資源研究所, ゲノム機能改変研究ユニット, ユニット長 (80212067)
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研究分担者 |
雑賀 啓明 独立行政法人農業生物資源研究所, ゲノム機能改変研究ユニット, 主任研究員 (20435613)
遠藤 真咲 独立行政法人農業生物資源研究所, ゲノム機能改変研究ユニット, 任期付研究員 (40546371)
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キーワード | 人工制限酵素 / ゲノム改変 / 変異スペクトラム / 非相同末端結合 / 形質転換 / 植物 |
研究概要 |
[汎用性の高い標的遺伝子への変異の導入技術の開発] イネの内在性遺伝子を切断する人工制限酵素を誘導的に発現させるため、βエストラジオールによって人工制限酵素の発現を誘導する形質転換用ベクターを構築した。このベクターをイネ品種日本晴に導入し、形質転換カルスを複数系統得ることに成功した。この形質転換カルスをβエストラジオールを含む培地に置床し、人工制限酵素の発現を誘導した。内在性の標的遺伝子が切断された際、修復の過程でエラーが生じることがあり、変異が導入されることがある。そこで、標的遺伝子の塩基配列を確認したところ、標的遺伝子に変異が導入されていることを確認した。 また、人工制限酵素の活性と特異性を迅速に評価することを目的に、イネのプロトプラストを利用した形質転換系における各種条件検討を行ったが、現在のところ、効率的かつ安定な形質転換系を構築するには至っていない。 [標的遺伝子改変における変異のスペクトルを拡大する研究] 非相同末端結合に関わるLigase4(Lig4)の欠損シロイヌナズナ変異体において、人工制限酵素による切断を行い、導入される変異の頻度とスペクトルを解析したいと考えた。既に人工制限酵素の発現が高温条件下で誘導される形質転換シロイヌナズナを作出していたため、それとシロイヌナズナlig4変異体との交配を計画した。しかし、人工制限酵素発現シロイヌナズナのT3種子が発芽しなかった。そこで、lig4変異体に人工制限酵素を誘導的に発現させるベクターを形質転換した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
プロトプラストを用いた人工制限酵素の活性測定システムの構築は、プロトプラストへの遺伝子導入系が安定していないため、多少遅れている。また人工制限酵素遺伝子を導入したシロイヌナズナのT3種子が発芽しなかったため、変異体に遺伝子導入を行っているため少し研究が遅れている。他の研究は予定通り進行している。
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今後の研究の推進方策 |
[汎用性の高い標的遺伝子への変異の導入技術の開発] 昨年度作出した人工制限酵素発現イネカルスから再分化個体を作出する。また、人工制限酵素を植物体で発現させることで、標的遺伝子に変異が導入されること、その変異が次世代に遺伝することをイネにおいて確認する。また、新たに内在性遺伝子を標的とする人工制限酵素を設計し、昨年度と同様の実験を行うことで、人工制限酵素による変異導入システムの汎用性を実証する。 また、イネのプロトプラストを利用した形質転換系を構築するため、プロトプラストの調製方法等について条件検討を継続して行う。 [標的遺伝子改変における変異のスペクトルを拡大する研究] 昨年度人工制限酵素発現ベクターを導入したlig4欠損シロイヌナズナ変異体について、変異スペクトラム解析に用いる系統を選抜する。選抜した系統において、人工制限酵素による切断と導入される変異のスペクトラムについて解析を行う。また、人工制限酵素の一過的発現を利用した変異解析実験系を構築するため、シロイヌナズナにおける安定したAgro-infltration実験系の開発に取り組む。
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