研究課題
ウシ趾乳頭腫症 Papillomatous Digital Dermatitis(PDD)は難培養性細菌を含む複数の細菌による感染症で、新しい疾患概念であるpolymicrobial disease(PMD)の1つである。本研究では、メタゲノム解析を中心としたアプローチにより本症原因菌群の同定とその生物学的性状を明らかにし、PMDとしてのPDDの本質を解明し、ゲノム情報を基に難培養菌の分離・培養法の確立や早期診断法やサーベイランス法などの開発を目指す。本年度は、共同研究者らと共に、メタゲノム配列用のアッセンブラーの開発を進め、前年までに取得したメタゲノム配列の解析を進めた。また、宮崎県内で口蹄疫終結後にPDDが集団発生していることが判明したため、その解析を優先することとし、前年に引き続いて、県内のPDD検体収集を実施した。この中の2サンプルについて、細菌由来DNA濃縮サンプルの調整と16S rRNAによる菌相解析を実施し、新たなメタゲノム解析用サンプルを選定した。このサンプルについて、ペアエンドとメイトペアー(3, 5, 8 および10 kb)のイルミナシーケンシングを行い、現在、バージョンアップしたメタゲノム配列用アッセンブラーを用いたアッセンブルを進めているが、1番目のサンプルよりも高品質のレファランス配列が取得できる見通しとなった。一方、分離培養可能なT. phagedenisについては、完全配列決定済みのPDD由来株(YG3903R)とは分離地域・年の異なるPDD由来株(5株)とヒト由来標準株(1株)のゲノム解析を進め、標準株の完全配列とPDD由来株の概要配列を取得した。これらの菌株とYG3903R株とのゲノム比較から、IS・MITEの獲得と爆発的なコピー数増加、ファージ獲得、PDD系統の分離、IS・MITEによるゲノム再編成の過程が明らかになった(論文作成中)。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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J. Med. Microbiol.
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10.1099/jmm.0.071498-0.