研究課題
アプラトキシンAのペプチドミメティス創製:アプラトキシンAと構造が類似しているアプラトキシンCの全合成に成功した。この際、チアゾールのα位のエピ化が縮合条件で起こることを明らかにし、類縁体合成の反応条件を精査することとなった。その結果、メチル基の立体化学の異なるジアステレオマーも得ることができた。また、本手法を用いてチロシン残基を別のアミノ酸で置き換えた類縁体の合成を達成した。水溶性をもつテロメスタチン類縁体の合成: 水溶性をあげるためS―アルキル化を経てアミノアルキル基を導入したテロメスタチン誘導体を合成する手法を確立した。本誘導体は天然物テロメスタチンより強いテロメラーゼ阻害活性を示すことを見出した。デストラキシンE類縁体の合成、構造活性相関、分子プローブ合成:アミノ酸残基の一つに対し、アジド基を導入したアミノ酸、および N-メチルアミノ酸に置き換えたデストラキシンE類縁体を固相合成法を用いて合成した。その活性評価を行なったところ破骨細胞抑制効果を示したものの、天然物より効果が弱くさらなる誘導体合成が必要であることがわかった。ボーベリオライドIIIのペプチドミメティクスの高機能化:フォトアフィニティラベル基として働くジアジリンを含むアミノ酸を効率よく合成する方法を開発し、ボーベリオライドの一残基に組み込んだ類縁体を合成することに成功した。この化合物は天然物と同様の生物活性を有することを明らかにした.
2: おおむね順調に進展している
取り上げた4つの研究項目のいずれも当初予定した合成研究は順調に進んでおり、生物活性環状デプシペプチド化合物の高機能化に有益な技術開発として進展が見られる.1)アプラトキシンAのペプチドミメティス創製では、これまでに合成されたことのなりアプラトキシンCの全合成を達成し、類縁体合成の幅を大きく広げることができた。2)水溶性をもつテロメスタチン類縁体の合成では、難溶性のテロメスタチンを機能化するという目的を達成し、アミノ基を導入した誘導体が天然物を超える作用を示すという画期的な成果を得た.3)デストラキシンE類縁体の合成、構造活性相関、分子プローブ合成ではアジド基を導入した類縁体を合成できる手法を確立して分子プローブ合成への礎をつくることができた。構造活性相関の結果、さらに有効性のあるアジド基の導入場所を精査する必要があることがわかったが、別の位置にアジド基を導入した誘導体を合成することで解決できると考えられる.4)ボーベリオライドIIIのペプチドミメティクスの高機能化では、フォトアフィニティラベル基として働くジアジリンを含み、かつ天然物と同等の活性を有するボーベリオライド類縁体の合成に成功した。今後フォトアフィニティラベルを行なって、ボーベリオライドがACATのどの部位に結合しているかを明らかにすることが可能となった。
研究は順調に進展しているので、計画にそって粛々と研究を進める。
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