研究概要 |
申請者らは、独自に開発したコンパクト分子プローブ法によって、ジャスモン酸グルコシド(JAG)の標的候補タンパク質を突き止めた(未発表)。JAGは、セカンドメッセンジャーとして活性酸素種(ROS)生産を促進することで、イオンチャネルの活性化を引き起こす。運動細胞へJAGを投与すると、細胞収縮誘導と同じタイムスケールで、ROS生成が確認できた。植物におけるROS生産は、主として細胞膜上のNADPHオキシダーゼ(RbOH)によるものと考えられている(EMBO J., 2003, 22, 2623)。しかし、アメリカネムノキ(Samanea saman)運動細胞では、JAGによるROSの発生は、RbOHに依存しない。これは、COI1-JAZ経路以外に新規のジャスモン酸類シグナル伝達機構が存在することを示す結果であった。 アメリカネムノキ植物体内では、2の配糖体化によって、その結合受容体ならびに生物応答が全く異なるものへと「スイッチを切り替えるように」変化している。これは、生体内で機能する未知の生物活性制御機構であり、”Glycosylation Switching”と命名した。配糖体分子は、これまで、生体内での貯蔵や輸送の役割を担う不活性型誘導体の典型例と考えられてきたが、実際には活性の制御にダイナミックに関与する
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