研究課題
アプリロニン類については、アプリロニンA光アフィニティプローブを開発して、その強力な抗腫瘍性に関わる標的生体分子を探索した。その結果、アプリロニンAとアクチンの複合体が結合する生体分子として、チューブリンを同定した。アプリロニンAとアクチンとチューブリンαβヘテロダイマーは三元複合体を生成することを発見した。二大細胞骨格タンパク質であるアクチンとチューブリンと同時に結合する天然物は初めての例である。この三元複合体が、チューブリンの重合を強力に阻害し、分裂期の細胞の紡錘体に形態異常を引き起こし、細胞周期をG1/M期で停止させ、アポトーシスを誘導するという、抗腫瘍性発現の分子機構を明らかにすることができた。また、生物活性の極めて弱い類縁体であるアプリロニンCについて、同様の実験を行っても、三元複合体はできないことが明らかとなり、両者の構造上の差であるトリメチルセリン基がチューブリンとの結合に重要であることがわかった。この結果は、これまでに天然及び人工類縁体を用いる構造活性相関で得られていた情報と一致するものである。ハテルマライド類については、昨年度までに達成していた重要合成中間体を用いて、野崎-檜山-岸カップリング反応と酵素を用いる位置選択的加水分解反応を鍵反応とする合成経路により、その天然誘導体であるビセライドAの初の全合成を達成した。さらに、特に不安定な誘導体であるビセライドEについて、その特徴的な部分構造を構築する方法と、その反応性を明らかにした。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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