研究課題/領域番号 |
23310150
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
田中 浩士 東京工業大学, 理工学研究科, 准教授 (40334544)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 免疫 / 糖鎖 / グリコシル化 / STD-NMR / サンゴ / βグルカン / ケミカルプローブ |
研究概要 |
本研究は、「共生および感染免疫に関わる糖質を基盤としたケミカルプローブの合成とその評価」と題し、ケミカルプローブを利用する生物化学、計算化学および分析化学の融合技術に基づいた共生と免疫に関わる糖質の機能とそのメカニズムを解明を目的とした。具体的には、共生と免疫にかかわる3種類の糖鎖(サンゴと褐虫藻の共生を仲介するフォルスマン抗原5糖、ヒト自然免疫活性能を有するβグルカン多糖およびリポマンナンリン酸糖脂質)の構造活性相関とそれが誘起する生物現象メカニズムを明らかにすることを目的としている。本年度は糖鎖ユニットをスペーサーを介して直線状に結合する直線型多糖モデル の合成を検討した。まず、グルカンユニットをトリアゾールスペーサーを介して直列に結合させた直線型βグルカン誘導体の液相合成を行なった。その結果、両末端にアセチレンとアジドを有する4糖ユニットを合成し、順次[3+2]環化付加反応により伸長し4糖を4ユニット含む16糖の合成に成功した。さらに、本手法を用いて、固相上における糖鎖ユニットの結合を検討した結果、固相上にて3糖ユニットを3つ含む9糖誘導体の合成に成功した。 また、別途合成した16糖からなるβグルカン誘導体とレセプタ蛋白質Dectin-1との相互作用についてSTD-NMRを用いた解析を行なったところ、グルコースの3位の水素に相対的に強い相互作用が観測された。このことより、Dectin-1とβグルカンとの相互作用様式における新しい知見が得られた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
フォルスマン抗原5糖類縁体およびβグルカン誘導体の合成法の開発に成功している。さらに、これらの化合物が生物作用を示すことも明らかにしている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、これらを基盤とした誘導体合成および、合成した化合物の機能評価を進めて行く。
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