研究課題
組織ペプチドームを解析できれば、生理活性ペプチド等の探索の有効な情報源となるが、タンパク質の分解ペプチドと内在ペプチドとが識別できず、研究の進展を阻害している。本研究では、内在/分解ペプチドの識別法を作成し、組織ペプチドーム解析を実施可能とする。先ず、標識試薬の脱離は後処理に必要な酸性条件で起こるが、脱離速度は遅く、時間や保存条件を管理すれば軽微で、調製・保管後に解析可能なことを確認した。一方、標識条件の設定は困難で、標識試薬存在下で組織をホモジナイズすると、標識された分解ペプチドが多数生成するが、種々の微小組織サイズで標識試薬溶液へ長時間浸漬しても、十分に標識されなかった。標識試薬の細胞内移行は容易と推定されるが、細胞取込型染色剤で均一に染色される灌流条件でも標識率は低かった。しかし、一部ではあるが70%以上標識された分解ペプチドも検出されたため、細胞内構造が保持された条件では消化・分解は起こりにくく標識率が低いと仮定し、ペプチド解析実験を開始した。標識試薬溶液で浸漬した下垂体中葉、あるいは灌流した視床下部を詳細解析した結果、明確な標識ペプチド(標識率20%以上)は数%に過ぎないが、前者ではプロセシング以外の切断、後者では細胞内タンパク質の切断による標識率が高く、標識体は分解ペプチドと推定された。以上より、低率でも標識されれば分解ペプチドと判定するのが妥当と推定された。その為、分解ペプチドの検出には、標識に由来する一定質量差を持つ全ピーク対を同位体ピーク群毎に比較し、低標識率でも定量比較可能なシステムの開発が不可欠と考えられた。並行実施したペプチド抽出法や解析法の改善により、視床下部でも従来より遥かに多くの内在ペプチドを同定できた。特異的切断による生成と推定される新規ペプチドを、少数ではあるが同定した。合成ペプチドを調製し、確立した評価系による活性測定を開始した。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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