研究課題/領域番号 |
23310157
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研究機関 | 群馬大学 |
研究代表者 |
飛田 成史 群馬大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30164007)
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研究分担者 |
吉原 利忠 群馬大学, 大学院・工学研究科, 助教 (10375561)
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キーワード | 酸素プローブ / イリジウム錯体 / りん光寿命 / HeLa細胞 |
研究概要 |
当初、平成23年度は顕微寿命測定装置を製作する予定であったが、採択決定が平成23年10月であったため装置の発注が遅れ、現在、該装置を製作中である。そこで、その前段階として顕微鏡下ではなく、シャーレ内の培養細胞を直接、YAGレーザー(波長532nm)で励起して、発光寿命測定を行っている。培養液に酸素プローブであるイリジウム錯体を含んだHeLa細胞では、細胞内にプローブが取り込まれ、培養液中に比べて短寿命の発光成分が現れた。この成分の寿命は、培養器の酸素分圧を20%から2.5%に低下させると長寿命化したことから、細胞内に取り込まれたイリジウム錯体が酸素に応答していると考えられる。あらかじめ消光速度定数をDMPCリポソーム膜に取り込まれたプローブについて求めておけば、細胞内のプローブのりん光寿命から細胞内酸素濃度をリアルタイムで求めることができることが判明した。これをさらに顕微鏡下での測定に発展させていく予定である。一方、平成24年度に予定していたミトコンドリア集積性をもつイリジウム錯体プローブの設計と合成を行った。イリジウム錯体としては、すでに我々の研究で細胞内酸素応答性が明らかにされているBTPを用い、BTPの補助配位子(acac)にミトコンドリア集積性を付与させるためのtriphenylphosphonium(TPP)基を結合させた錯体BTP-Mitoを設計・合成した。その結果、BTP-Mitoは細胞に効率よく取り込まれ、予想通りミトコンドリア集積性をもつことが明らかになった。また、培養器の酸素分圧の変化に対応して、発光強度が細胞内の酸素濃度に応答することが判明した。この結果は、Chemistry Letter誌に掲載されている。今後、この発光プローブを用いてりん光寿命測定に基づく細胞内酸素濃度計測を行っていく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成23年度に導入を予定していた発光寿命測定に基づく細胞内のオルガネラ酸素濃度計測装置の製作が順調に進みつつある。すでにシャーレ内の培養細胞に励起光を照射して、細胞内の発光プローブが発する発光の寿命を計測することには成功している。今後、これを顕微鏡下での測定に展開していく予定である。
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今後の研究の推進方策 |
蛍光顕微鏡を用いたオルガネラ酸素濃度計測装置をできるだけ早く完成する。この装置と我々が一方で設計・合成を進めているイリジウム錯体酸素プローブを用いて、細胞内のミトコンドリア等の特定のオルガネラの酸素濃度をリアルタイムで計測する技術の開発を進める。
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