研究課題
人間の活動域である沿岸域に棲息する野生イルカは、近年増加する人間活動との軋轢から大きな影響を受けると考えられる。餌生物減少や生息環境悪化などに伴う成長率の低下や栄養状態の悪化、また、沿岸域の人間活動による海中雑音の増加に伴うコミュニケーション範囲の減少、聴覚の損傷といった経時的・直接的な影響は重要にも関わらず、それらを計測する方法が確立されておらず、研究が進んでいない。本研究では、野生イルカの形態を非侵襲的に正確に3次元計測するシステムと、野生イルカの鳴音を非侵襲的に正確に記録するシステムを構築すること、そして本システムを用いて個体数が近年激減している伊豆諸島御蔵島周辺海域の野生イルカ個体群の個体から基礎データを取得し、野生イルカの成長や肥満度、鳴音の詳細などを明らかにしながら、経時的変化をとらえることにより、個体群の保全につなげることを目的としている。研究最終年度は、体長推定に関する研究としては、モデルのイルカや実環境(水族館の飼育プール)中、そして実際のイルカにレーザー光を照射し、体長推定を試みる実験を行った。また、形状が変化するイルカの体長推定を変形に追従して非侵襲的に行うために、ベゼ曲線を用いる方法を考案し、その精度評価を行った。さらに、点群から近似楕円柱を求め、その長径/短径から胴囲を推定する手法を開発し、その有効性を確認した。ここでは、イルカの断面形状から求められる補正係数を掛けることで精度向上を図った。一方、鳴音の記録システムについては、これまで構築してきた野生イルカの鳴音の非侵襲的な記録システムを用いて実際にイルカの鳴音を収録し、音源音圧を複数個体から記録することができた。イルカに対するシステムの位置関係によって音圧が大きく異なること、個体内でも様々な要因で音圧にバリエーションが生まれることなどを示唆できた。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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ICIC express letters. Part B, Applications : an international journal of research and surveys
巻: 5 ページ: 583-587
Memoirs of the Faculty of Engineering Osaka City University
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