研究課題/領域番号 |
23310167
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研究機関 | 首都大学東京 |
研究代表者 |
加藤 英寿 首都大学東京, 理工学研究科, 助教 (50305413)
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研究分担者 |
山本 節子(鈴木節子) 独立行政法人森林総合研究所, 森林遺伝研究領域, 主任研究員 (70456622)
井鷺 裕司 京都大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (50325130)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 生物多様性保全 / 生態系修復・整備 |
研究概要 |
侵略的外来種による植生の破壊や変質が問題となっている小笠原諸島では、外来生物の駆除に加えて、森林生態系の修復・再生を促進するため、在来樹の植栽を伴う保全事業が検討・実施されている。しかしながら海洋島の植物は、島内の集団間で遺伝的に分化するなど、複雑な遺伝構造が認められることが多い。従って、このような地域における植栽は、長い歴史をかけて形成されてきた集団構造を攪乱するおそれがある。本研究は、小笠原諸島における在来樹種の集団遺伝学的解析や植栽シミュレーションを行い、進化的な観点から重要な地域における植栽の適否や手法に関するガイドラインを提案し、適正な保全・自然再生計画に直接的に貢献することを目的とする。 平成24年度は、前年度に遺伝マーカー(核DNAマイクロサテライト)を開発した広分布種のうち、ヒメツバキ・ヤロード;・シマホルトノキ・センダン・オガサワラビロウ・タコノキ・モモタマナ、シャリンバイについて、小笠原諸島全域から様々な環境を網羅するようにDNAサンプルを収集し、各個体の遺伝子型を決定した。そして、これらのデータを元に集団の遺伝的多様性の程度(Na、Ne、Ho、He、Fis)や 集団間の遺伝的分化(Gst、Fst) などについて、基本的な解析結果をとりまとめた。ヒメフトモモなど一部の分類群についてはマーカー開発が終了し、集団遺伝学的解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初目標としていた9種のうち8種について、小笠原諸島のほぼ全域から集団サンプリングして遺伝子型の決定が終了した。昨年度の課題であったGISデータの処理に関しては、専門家の協力を得て、植生や地形などの環境条件との関連性を一部の種について試験的に解析を行うことができ、ほぼ目標を達成しつつある。
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今後の研究の推進方策 |
今年度中に目標としていた9種の集団遺伝構造の解析が完了する予定である。最終的な目標である植栽シミュレーションは、技術的な問題で滞っているため、他の専門家に相談しながら打開策を模索している。
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