研究課題
本研究の目的は、水溶液中の細胞の生存率を高める新規物質の”超強力細胞保護ペプチドCPP”の機能発現メカニズムを解析し、CPPの応用技術を開発することである。CPPは一般に不凍蛋白質(Antifreeze Protein, 略称AFP)と呼ばれる分子の仲間であり、細胞表面のみならず氷結晶の表面に結合して水溶液の凍結を妨げる機能を有している。すなわちCPPは細胞表面にある脂質二重膜ならびに水分子に作用することで細胞の生存率を高める可能性がある。本事業においてはCPPの量産手法の開発、CPPの機能解析(顕微鏡+X線法+NMR法)、CPP細胞保護試験を実施した。これまで様々なAFPについて新種探索、組成解明、量産技術開発、分子構造解析などを進め、そのうちの2種類がCPPとして機能することを見出した(CPP1とCPP3、各1グラム)。今年度はモデル細胞として特にマウス膵島細胞を選び、同細胞の生存率がCPPによってどのくらい向上するかの実証試験を行った。また3年間の研究成果を11報の論文+13件の学会等で発表した。CPP含有の細胞保存液の中にマウス膵島細胞を浸し+4℃で24~120時間保存した。一定時間毎に細胞を取り出し、染色法やインスリン分泌量から膵島細胞の生存率を解析したところ、120時間後で約60%という非常に高い生存率の値が得られた。CPPを含有しない液で保存した同細胞の生存率は48時間以内にほぼ零になった。この、CPPがマウス膵島細胞の生存率に与える強力な保護効果はオンラインジャーナル PLoS ONE に発表した。また、機関の公式ホームページ等などでも公開した。本研究の成果はCPPが細胞治療の分野で活用できる大きな可能性を示すものと言える。他機関等の協力を得て更に当該研究開発を進めて行きたいと考えている。
25年度が最終年度であるため、記入しない。
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