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2012 年度 実績報告書

世論調査による中東諸国民の政治意識と政治体制の相互連関の解明

研究課題

研究課題/領域番号 23310173
研究機関山形大学

研究代表者

濱中 新吾  山形大学, 教育文化学部, 准教授 (40344783)

研究分担者 青山 弘之  東京外国語大学, 総合国際学研究院, 准教授 (60450516)
山尾 大  九州大学, 比較社会文化研究科(研究院), 講師 (80598706)
研究期間 (年度) 2011-04-01 – 2014-03-31
キーワードアラブ政変 / 世論調査 / 政治意識 / 中東政治外交
研究概要

本研究は、中東地域政治の動向を決定する上で各国政府が注視する一般大衆の政治意識が、近年の政治変動の中でいかに再構成されたのかを分析することで、①対象国内の政治エリートと大衆の関係や体制の安定/不安定化の要因を解明するとともに、②こうした内政と外交政策がいかに連動し合っているかを探ることを目的とする。この目的を達成するため、現地研究機関との協力(調査委託)に基づく全国規模の直接面談方式もしくは電話による世論調査を実施し、得られた調査データの計量分析を行い、それを踏まえた上で比較政治学的、地域研究的な視点から中東地域政治の動態的な把握を試みる。
今年度は2011年に始まった中東地域の民主化運動と一連の政変ないし騒擾が、周辺諸国の政治意識にいかなる影響を与えたのかを調査するため、パレスチナとレバノンで同時期に世論調査を行った。独裁政権が崩壊したエジプトの影響をパレスチナで、内乱状態に至ったシリアの影響をレバノンで調査することが目的である。
パレスチナ調査とレバノン調査は4月に質問票作成を同時に開始しした。現地調査機関との折衝を経てパレスチナは6月初旬、レバノンは7月に実査を終えることができた。現地調査機関の責任でデータクリーニングが行われ、研究代表者にデータが引き渡されたのはパレスチナ調査が7月、レバノン調査は8月であった。これらのデータは平成25年度中に分析が終了し、研究成果となる予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

今年度の計画に掲げた国際学会での研究報告ならびに国内学会・研究会での報告を行うことができた。研究計画調書を立案した2010年当時、一連の中東における政変劇である「アラブの春」を予測することができなかった。「アラブの春」によって計画していたシリアでの世論調査が不可能になったため、最終年度に予定していたパレスチナ調査を前倒しして行い、シリア調査をレバノン調査に振り替えた。これによって周辺諸国における「アラブの春」の影響を研究する計画に変更することができた。パレスチナとレバノンの世論調査の実査は計画通りに遂行された。
現在、パレスチナとレバノンにおける政治意識の地域間比較を行うとともに、パレスチナとレバノンで過去に行った世論調査(2009年と2010年)との経年変化を捉える比較研究を行っている途上にある。
計画の変更は政治変動と政治意識の関連性という学術的関心に答えるとともに、中東政変の実態について世論調査を通じた接近を可能にするものであり、わが国の外交政策上の関心にも答えるものである。

今後の研究の推進方策

先に述べたように、本研究計画は「アラブの春」の影響を大きく受けることとなった。しかし当初計画に政治意識と政治体制の関連および内政と外交政策の関連を研究目的にしているため、現地動向の世界史的変化は当該研究目的の重要性を大きく高めることとなった。
平成25年度は「アラブの春」の中心地であるエジプトを調査対象に予定している。この調査によって政権を崩壊させた社会運動の担い手がいかなる情報経路を通じて集まったのか、情報通信機器の役割は実際どのようなものだったのか、政変後の新政権や民主政治に対する世論の動向を知ることができる。
可能な限り早急に質問票の作成に入る。その後、現地調査機関の選定と折衝を経て実査を委託することになる。エジプトは今年の夏に議会選挙を予定しているので、実査は選挙後になるかもしれない。研究代表者と分担者・協力者からなるグループは2008年にエジプトで世論調査を実施しているので、政治意識の経年変化を追跡する分析が可能である。データ分析と研究成果の公表は今年度中の遂行を目指したい。

  • 研究成果

    (9件)

すべて 2012 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 1件) 備考 (2件)

  • [雑誌論文] レバノン人の越境移動に関する意識と経験2012

    • 著者名/発表者名
      髙岡豊、浜中新吾、溝渕正季
    • 雑誌名

      日本中東学会年報

      巻: 28(1) ページ: 35-58

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Public Opinion in the Middle East: Survey Research and the Political Orientations of Ordinary Citizens by Mark Tessler, Bloomington, Indiana University Press, 2011, xix + 372 pp.2012

    • 著者名/発表者名
      HAMANAKA Shingo
    • 雑誌名

      The Developing Economies

      巻: 50(4) ページ: 404-407

    • DOI

      10.1111/j.1746-1049.2012.00185.x

    • 査読あり
  • [学会発表] The Israeli-Arab conflict from a systems approach

    • 著者名/発表者名
      HAMANAKA Shingo
    • 学会等名
      Japan and Israel: Regional, Bilateral, and Cultural Perspective
    • 発表場所
      Hebrew University of Jerusalem
    • 招待講演
  • [学会発表] Determinants of the Attitude toward Political Parties in Palestine

    • 著者名/発表者名
      HAMANAKA Shingo
    • 学会等名
      International Political Science Association
    • 発表場所
      Universidad Complutense de Madrid
  • [学会発表] イラクにおける政党支持構造とその変容

    • 著者名/発表者名
      山尾大、浜中新吾
    • 学会等名
      日本政治学会
    • 発表場所
      九州大学
  • [学会発表] アラブ革命の陰で

    • 著者名/発表者名
      浜中新吾
    • 学会等名
      途上国研究会
    • 発表場所
      立命館大学
  • [学会発表] イスラエル2013年選挙の考察

    • 著者名/発表者名
      浜中新吾
    • 学会等名
      中東地域における経済自由化政策をめぐる受容と抵抗・研究会
    • 発表場所
      京都大学東京オフィス
  • [備考] 世論調査による中東諸国民の政治意識と政治体制の相互連関の解明

    • URL

      http://www.tufs.ac.jp/ts/personal/aljabal/namatiya2.htm

  • [備考] Hamanaka Laboratory

    • URL

      http://www.e.yamagata-u.ac.jp/~oshiro/

URL: 

公開日: 2014-07-24  

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