研究課題/領域番号 |
23310175
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研究機関 | 北海商科大学 |
研究代表者 |
古矢 旬 北海商科大学, 商学部, 教授 (90091488)
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研究分担者 |
久保 文明 東京大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (00126046)
大津留 智恵子 関西大学, 法学部, 教授 (20194219)
西崎 文子 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (60237691)
小檜山 ルイ 東京女子大学, 公私立大学の部局等, 教授 (70186782)
酒井 啓子 千葉大学, 法経学部, 教授 (40401442)
宮田 智之(近藤智之) 東京大学, 総合文化研究科, 助教 (00596843)
遠藤 泰生 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (50194048)
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キーワード | 保守化 / グローバル化 / レーガン革命 / 新自由主義 / 冷戦の終わり / 唯一の超大国 / 湾岸戦争 / 福祉改革 |
研究概要 |
本研究は、現代アメリカにおける保守主義政治が、80年代以降一つのレジームとして確立したという主導的仮説を出発点として、その成立・変容過程を、同時期に進行したグローバル化との関わりにおいてあきらかにすることを目的とする。 初年度は、各分担者が移民問題、金融・貿易政策、福祉政策、戦争、宗教、シンクタンクなどの分野ごとに、この仮説の検証に着手した。その成果の一端は、すでに発表された著書、論文、口頭報告に示されたとおりであるが、これまでに到達した、研究参加者の共通認識は以下の通りである。第一に、アメリカ政治は、経済争点を梃子として80年代に保守化、グローバル化の傾向を強め、90年代には本来リベラル派であったはずの民主党も新自由主義的グローバリズムに傾いたことによって、(少なくとも金融と税制については)ほぼ保守主義的コンセンサスが確立した点である。第二に外交についても、共和党保守の政権が90年代までに冷戦を終結させ、アメリカ一極世界が実現されたことによって、90年代をとおして楽観的かつ単独主義的な保守主義外交が展開されていったという理解である。こうした理解は、研究分担者の間で共有されたばかりではなく、海外の研究協力者との意見交換によって深められた。 この90年代の保守主義レジームが、21世紀、「9・11事件」とオバマ政権、ティー・パーティーの登場によって、いかに変容していったかについては、次年度以降の課題となるが、導入として、初年度の最終局面(実際には2012年度5月)において、アメリカ政治思想史研究の第一人者ジェイムズ・クロッペンバーグ(ハーヴァード大学)教授を招聘して、ミニ・シンポジウムを開催し、本研究分担者との活発な意見交換を行った。と同時に、分担者の一部はすでに、2010年中間選挙における新しい保守勢力としてのティー・パーティーの台頭に注目し、萌芽的な研究成果を発表している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究者分担者間の連絡は、比較的良好であり、初期的な研究成果の発表も順調に進んでいる。反面、本研究の一つの眼目でもある若手アメリカ研究者との交流は十分ではなかった。来年度以降は、海外研究協力者をもう少し活用し、若手の外部研究者を含む、共同研究会をもう少し活発化させたい。
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今後の研究の推進方策 |
次年度は、ちょうど2012年大統領選挙に当たっており、「9・11事件」以後のアメリカ保守主義レジームの変容、とりわけ過去4年間におけるオバマ政権とアメリカ政治の保守派との確執に関し、税財政問題、人種・移民問題、対外政策をなどの視角から検討を進めたい。ただし、本研究に必須の海外研究協力者との交流・意見交換は、交付額の不足から十分に行いえないのではないかと危惧している。
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