研究課題/領域番号 |
23310176
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研究機関 | 東京外国語大学 |
研究代表者 |
野本 京子 (沼田 京子) 東京外国語大学, 大学院・総合国際学研究院, 教授 (90208281)
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研究分担者 |
武田 千香 東京外国語大学, 大学院・総合国際学研究院, 准教授 (20345317)
河路 由佳 東京外国語大学, 大学院・総合国際学研究院, 教授 (00272641)
降幡 正志 東京外国語大学, 大学院・総合国際学研究院, 准教授 (40323729)
友常 勉 東京外国語大学, 国際日本研究センター, 講師 (20513261)
前田 達朗 東京外国語大学, 国際日本研究センター, 講師 (60590750)
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キーワード | 日本語 / 日系コニュニティ / 日本語人 / 社会言語 / オーラルヒストリー / 生活言語 |
研究概要 |
本研究は、海外で日本語が存在する国・地域に共通する指標を〈紐帯としての日本語〉に求め、その集団の由来の相違からカテゴライズされた3つのグループ(「日本人社会」「日系コミュニティ」「日本語人」)における日本語の役割の調査研究を、生活言語と生活誌の調査と、それらのグループの比較を通して行うものである。調査では海外における生活言語としての日本語を動態的に把握し、社会言語学と生活・文化誌研究とをつなぐ複合的な地域研究の方法論を確立する。そして、日本語を紐帯として形成されるコミュニティとその背景にあるアイデンティティ形成の比較研究を目指す。初年度である平成23年度は研究体制(A:社会言語学的調査とオーラルヒストリー調査の研究分担、B:海外における「日本語社会」の調査研究の3地域、C:調査地域区分と分担、D:調査行程)を確立し、具体的な調査紙法・オーラルヒストリーのマニュアル、ツール(生活言語調査のアンケート項目、聞き取りの調査項目)を決定し、3つの地域群での調査研究を行った。調査地域はブラジル、パラオ、インドネシア、北米、台湾、韓国、奄美、ドミニカの各地域である。それぞれ予備調査が終了し、本格的な聞き取りに入っている段階である。それぞれの調査によって海外における「日本語社会」の存在形態と言語の継承状況、日本人・日本語人コミュニティの現状のデータを集積した。さらに、ライフヒストリーと言語意識との照応関係も明らかになっている。 また、一連の調査終了後、調査報告会を開催してきた(2回実施)。さらに国際日本研究センター主催の国際シンポジウム「国際日本学の構築に向けて」(平成24年3月23日・24日)では、国際日本研究センターと提携してセッション「移動と定着を巡る日本-紐帯としての日本語」を持ち、韓国・ブラジル・日本における言語とコミュニティ調査研究の現在について討議をおこなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画初年度は調査方法の確立、調査地の特性と問題意識の共有をはかりながら、予定の調査地域での調査を実現し、予備調査を終えることができた。さらに同時に本格的な調査に入っている。これによって平成24年度のコミュニティ調査、ライフヒストリー調査へとステップを上げることができる状態に達した。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画第二年度である平成24年度は研究体制(A:社会言語学的調査とオーラルヒストリー調査の研究分担、B:海外における「日本人社会」の調査研究の3グループ、C:調査地域区分と分担、D:調査行程)と具体的な調査紙法・オーラルヒストリーのマニュアル、ツール(生活言語調査のアンケート項目、聞き取りの調査項目)にもとづき、以下の3グループでの調査研究を継続する。また、聞き取り成果の反訳・整理をおこなう。さらに平成24年度は(1)「日本人社会」のカテゴリーのなかに南アジア地域(インド)を付け加える。これは、この地域の中短期的な日本人滞在者・家族によって構成される社会が、他の地域と比べて比較的閉じた社会であり、他地域との比較において重要だと考えるに至ったからである。
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