研究課題/領域番号 |
23310177
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研究機関 | 一橋大学 |
研究代表者 |
中野 聡 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (00227852)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 国際研究者交流スペイン / 国際研究者交流フランス / 国際研究者交流ルワンダ / アジア太平洋戦争 / 政治学 / 歴史学 / 地域研究 / 社会系心理学 |
研究概要 |
アジア・太平洋戦争史の日本における研究蓄積をふまえ、その成果を内戦・圧制・対テロ戦争などにおける現代世界の大規模暴力をめぐる海外の研究と交流させることを目的とする本研究プロジェクトは、2012年度の研究実施計画にしたがって、①「真実和解」の研究・実践プロセスに関するフィールド調査・ネットワーク構築事業として、研究代表者・中野聡がルワンダ共和国(2012年5月)、ポーランド・ドイツ・フランス(同8-9月)において、永井均がフィリピン(2013年3月)、笠原十九司・林博史・宮地尚子・荒沢千賀子(若手研究協力者)がスペイン(2013年3月)においてそれぞれ調査を実施し、②若手研究協力者による研究として、それぞれ2012年度を通じて高誠晩が韓国において、荒沢千賀子がスペインにおいてそれぞれフィールド調査を行い、③海外ワークショップとして上記①とも重なるが、2013年3月に笠原十九司・林博史・宮地尚子・荒沢千賀子による訪問団を組織してスペインのオビエド大学等において日本・スペイン合同の研究会議を開催した。 2012年度の特筆すべき成果として、①本研究課題と直接重なるフランスの主要な学術誌『両大戦と現代の紛争』に中野聡・吉田裕の関連論文が仏訳掲載された、②スペイン内戦・独裁下の大規模暴力の歴史の掘り起こしと記憶に取り組むアストゥリアスの市民およびオビエド大学の研究者と日本の研究者を初めてネットワーキングする会議の開催に成功し、現代世界の大規模暴力をめぐる真実と和解の実践・研究にどのように結びつけていくかという本プロジェクトの中心課題について豊かなディスカッションを実現することができたことなど、ヨーロッパとの間で本研究課題に関する研究交流の実績をあげることができたことを指摘しておきたい。また本研究課題に関連して永井と中野がそれぞれ学術書(単著)を刊行した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本プロジェクトは(1)研究交流(ネットワーク構築)、(2)研究(フィールド)調査、(3)国際研究集会を中心に展開している。初年度(2011年度)は(1)に重点をおき、2012年度は(2)に重点をおくとした。2011年度から積み残された課題として、(1)・(2)を目的とするアフリカ・ヨーロッパ諸国の訪問・調査・ネットワーク形成に本年度は重点をおき、(3)については年度当初に計画したとおりスペインで国際研究集会を実施することができた。(2)については公募若手研究協力者を含めて順調に展開している。以上より全体としておおむね順調に進展していると言って良いと考える。
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今後の研究の推進方策 |
現代世界の大規模暴力をめぐる「真実和解」プロセスと第2次世界大戦史研究を交流させるというプロジェクトをいっそう推進するために、最終段階に入ったネットワーク構築・フィールド調査をさらに進めるとともに、国際研究集会などを通じて研究成果の発表につとめ、研究成果の刊行に向けた準備を進めていく。 まず若手研究協力者には研究成果の国際的な場における発表というかたちで成果を問うてもらう。また、研究代表者が2013年度後半に長期滞在する予定のアメリカ合衆国において、とくにジョージ・ワシントン大学の「アジア太平洋の記憶と和解」プロジェクト、イェール大学のジェノサイド研究センターと連携しながら、連携研究者を中心にした国際研究集会を開催していく(国際学会でのパネル企画も検討・実施したい)。年度末の総括会議を東京・一橋大学で開催するか、国際学会でのパネル参加を研究成果の総括の場として活用するかについて、8月までをめどに結論を出して、その後の予定を確定していきたい。
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