研究課題/領域番号 |
23310192
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
矢野 恵美 琉球大学, 法務研究科, 准教授 (80400472)
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研究分担者 |
上瀬 由美子 立正大学, 公私立大学の部局等, 教授 (20256473)
森川 恭剛 琉球大学, 法文学部, 教授 (20274417)
小名木 明宏 北海道大学, 法学(政治学)研究科(研究院), 教授 (60274685)
武田 昌則 琉球大学, 法務研究科, 教授 (60404547)
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研究期間 (年度) |
2011-04-01 – 2014-03-31
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キーワード | 女性 / 受刑者処遇 / 矯正職員 / 北欧 / ドイツ / ハワイ / 韓国 / ジェンダー |
研究概要 |
本年度は中間の年度であるため、各自の分担研究を進めることを中心に行った。 外国法制度研究部門においては、現地でのインタビュー調査(できる限り複数のメンバーで実施する)を中心に研究を進めた。とりわけ、スウェーデンにおいては、女性の処遇に携わる実務家及び研究者による「女性ネットワーク」が立ち上がっており、女性受刑者に関する様々な議論がなされ、実態調査による実証なども行われていると言う知見を得た。アメリカ合衆国ハワイ州においては、長年男性受刑者の処遇に携わってきた刑務官が女性刑務所長に抜擢されたことにより、男性の処遇に携わってきた間では知ることのなかった女性受刑者の特性があることを知り、それに即した処遇を実践しているという実例についてのインタビュー調査を行った。 調査票実施部門においては、昨年度実施した調査の内容をジェンダーの視点から分析し、研究会、学会において報告を行った。又、新たにPFI方式の刑務所において、受刑者及び官民職員を対象とした質問紙調査を実施した(分析は次年度に実施する。)。 差別、刑罰意識に関する理論研究部門においても、メンバー間及び学会において報告を行い、問題意識の共有をはかった。 中間成果の発表として、日本犯罪社会学会第39回大会においてテーマセッション「女性犯罪者の処遇と刑罰の意味」を立ち上げ、 1)女性と刑罰意識、2)女性刑務所の抱える問題点、3)女性受刑者処遇の問題点、4)刑務所における女性職員の抱える問題点等に関する報告を行い、矯正実務家、研究者、法曹実務家等の参加者と意見交換を行った。報告概要を全員が学会誌に投稿した。セッションでの議論を再度当該基盤研究参加者間で議論し、次年度の研究の進め方に反映させた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
中間年度として、各自が自分の分担研究を順調に進め、それぞれに成果をあげているため。中でも、調査票実施部門においては、当初は今年度は調整のみで実施までは予定していなかった一施設で、調査を実施することができたため。また、全員の会合における中間報告会の実施、学会報告(セッションの立ち上げ)などにより、各自の研究の中間報告を聞き、質疑応答を行うことによって、各自の研究内容を把握すとともに、共通の問題意識、今後の研究の進め方を全員で議論することができたため。とりわけ、学会でのセッションにおいては多数の矯正実務家、研究者、法曹実務家等の出席を得ることがで、活発な議論が交わされたことにより、問題意識が非常に深まったため。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度になるため、参加研究者全員が報告を行う国際セミナー、成果物の出版を行う。 外国法制度研究部門においては、各国共通の調査項目が定められているので、それに沿って、各国の状況を整理する。共通の問題点に対する各国の取組をまとめ、さらに、各国に特徴的な取組、固有の問題点などの調査・整理も行う。 調査票実施部門においては、昨年度に実施した質問紙調査の結果の分析を行う。さらにこれまで他施設で実施した調査の結果と併せた分析も行う。この際に、外国法制度研究部門と問題点を共有しているので、その視点からの調査報告を作成する。 差別、刑罰意識に関する理論研究部門では、各国の状況も整理し、また、調査票部門で実施した質問のうち、差別、刑罰意識に関する部分の結果を使用する。 最終的に、全員が同一の問題意識の下、受刑者処遇、刑罰意識をジェンダーの視点から再構築し、研究結果をまとめ、参加者間の研究会における最終報告、国際セミナーにおける報告、出版物への投稿を行う。
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